特定技能で採用できる職種・できない職種の見分け方【2026年最新版】


─── はじめに ───

「うちの工場でライン作業をしてもらっているベトナム人スタッフに、来月から倉庫の在庫管理もお願いしたいんですが、問題ないですか?」

先日、特定技能外国人を3名受け入れている中堅食品メーカーの総務担当者からこんな質問を受けた。答えは「内容によります」だ。倉庫管理が製造ラインに付随する業務なのか、全く別の業務なのかによって、法的に問題のある場合もある。

特定技能制度で一番多くトラブルになるのは、実は在留資格の取得時ではなく、採用後の「業務の割り振り方」だ。「採用できた」と安心した途端、現場の都合で想定外の業務を任せてしまい、気づかないうちに法令違反になっているケースが後を絶たない。

この記事では、特定技能外国人に「できる仕事・できない仕事」の見分け方を、採用担当者・経営者向けに徹底的に解説する。判断基準・分野別一覧・よくある落とし穴・現場で使えるチェックリストまでまとめたので、ぜひ日々の業務管理に活用してほしい。


─── 第1章:そもそも「業務範囲」って何で決まるの? ───

特定技能の仕組みを5分で理解する

特定技能(とくていぎのう)とは、2019年4月に始まった在留資格(ざいりゅうしかく:日本で生活・就労するための許可)の一つだ。人手不足が深刻な特定の産業分野に限り、外国人が日本で働くことを認めた制度である。

重要なのは、「特定技能を持っていれば何でもできる」わけではないという点だ。特定技能外国人が従事できる業務は、以下の3段階で絞り込まれている。

絞り込みの段階内容誰が決める?
① 対象分野16分野の中のどの分野か法務省・関係省庁が閣議決定
② 業務区分分野の中のどの業務区分か各分野の分野別運用要領
③ 指定書の記載その外国人個人の許可範囲入管庁が許可時に発行

外国人が日本に入国するときに発行される「指定書(していしょ)」には、「〇〇分野、〇〇業務区分」と具体的に記載がある。この指定書の範囲を超えた業務をさせると、受入企業(雇用している会社)も外国人本人も出入国管理法違反となる。

「特定技能」は在留資格の名前であって、職種の名前ではない

よくある誤解が「特定技能=特定の職種が使える」という思い込みだ。実際には「特定技能ビザを持つ人が、指定書の業務を行う」という構造になっている。

たとえば、飲食料品製造業の特定技能を持つ人が「飲食店のホールスタッフ」として働くことはできない。製造と外食業は別の分野だからだ。会社の業種が似ていても、指定書の分野・業務区分が違えば従事できない。


─── 第2章:採用できる業務を見分ける3つの判断基準 ───

実務上、特定技能外国人が「その業務をしていいか」を判断するポイントは3つある。

判断基準① 分野と業務区分が一致しているか

まず確認するのは「その仕事が、指定書に書かれた分野・業務区分に該当するか」だ。

たとえば建設分野であれば、「土木」「建築」「ライフライン・設備」などの業務区分がある。「建設分野の特定技能外国人だから建設工事なら何でもOK」ではなく、指定書に記載された業務区分内の仕事しかできない。

確認手順:

  • 雇用している外国人の指定書を確認する(パスポートに貼付or別紙)
  • 指定書に記載された「分野」「業務区分」を確認
  • 任せようとしている業務がその区分に含まれるか、分野別要領(入管庁サイトで公開)で照合する

判断基準② 「主たる業務」の時間が半分以上確保されているか

特定技能では「主たる業務(おもな仕事)」と「関連業務(かんれんぎょうむ:付随的な仕事)」という概念がある。

主たる業務:指定書に記載された分野・業務区分の中心的な仕事
関連業務:主たる業務に付随して行う仕事(同じ職場の日本人従業員が通常行う範囲内)

入管庁の運用要領では、主たる業務の時間が業務時間全体の半分以上であることが必要とされている。関連業務だけを行わせることはできない。

業務の種類定義時間割合の目安
主たる業務指定書の業務区分に直接対応する中心業務50%以上(必須)
関連業務主たる業務に付随して日本人従業員も行う業務50%未満
従事不可の業務分野・業務区分と無関係な業務0%(禁止)

判断基準③ 勤務場所が適正な事業所か

特定技能では、受入機関(雇用企業)が入管庁に届け出た事業所でのみ就労できる。たとえば、本社で雇用した外国人を届出のない支店・現場に送り込む行為は違法になる。

また、農業・漁業を除く分野では「派遣形態での雇用は禁止」されている。人材派遣会社から特定技能外国人を「派遣」で受け入れることは(農業・漁業分野を除き)できない。

勤務形態農業・漁業その他14分野
直接雇用○(可能)○(可能)
派遣○(可能)✗(禁止)
出向・請負要確認要確認

─── 第3章:分野別「できる仕事・できない仕事」早見表 ───

16分野それぞれで「どんな業務が対象か」を把握しておくことが、採用ミスを防ぐ第一歩だ。以下に分野別の主な業務と「NG業務の典型例」をまとめる。

介護分野

できる業務(主たる業務):
身体介護全般(入浴・食事・排せつの介助)、機能訓練の補助、レクリエーションの実施・補助、利用者とのコミュニケーション支援

付随業務として可能なもの:
記録・報告書の作成補助、環境整備(居室の清掃・整頓)、物品の補充・管理

できない業務(典型的なNG例):

  • 医療行為(注射・点滴・薬の処方など)→ 医師・看護師の資格が必要
  • 訪問看護業務 → 介護と看護は別
  • 施設の受付・一般事務のみの業務 → 身体介護が主たる業務でなければNG
  • 障害者支援施設の配置基準を満たすための「数合わせ」のみ → 実態として業務が伴っていないと違反になる
チェック項目OKNG
身体介護の介助業務が主体
医療行為を含む業務
主たる介護業務なしに清掃のみ
訪問介護(要件あり)一定の条件下で○

飲食料品製造業分野

できる業務(主たる業務):
飲食料品の製造(原材料の処理・加工・成形・加熱など)、製造ラインの機械操作・管理、品質チェック、製品の梱包・包装、衛生管理

2024年3月の閣議決定により、スーパーマーケット・食品スーパーのバックヤードでの惣菜製造も対象に追加された。

付随業務として可能なもの:
原材料・製品の搬入・搬出、製造設備の日常清掃・点検補助

できない業務(典型的なNG例):

  • 飲食店のホールスタッフ(接客メイン)→ 飲食料品製造業 ≠ 外食業
  • 食品倉庫のフォークリフト専門業務のみ → 製造業務が主体でないとNG
  • 商品の販売(レジ業務) → 小売業は対象分野外
チェック項目OKNG
製造ラインでの加工・成形業務が主体
飲食店フロアでの接客のみ
スーパーバックヤードでの惣菜製造○(2024年〜)
レジ・販売スタッフとしてのみ配置

外食業分野

できる業務(主たる業務):
調理(盛り付けを含む)、接客(注文取り・料理の提供・会計)、店舗の清掃・衛生管理、食材の仕込み・下処理、食材や備品の棚卸・発注補助

付随業務として可能なもの:
レジ操作、ドリンク提供、デリバリー対応

できない業務(典型的なNG例):

  • 飲食店の「宅配ドライバー専従」→ 調理・接客が主体でないとNG
  • 居酒屋スタッフとして採用したが実態はデリバリーのみ
  • コンビニのレジ・品出し専従 → 外食業 ≠ 小売業

重要:2026年4月13日から外食業は新規受入停止中
2026年4月13日以降、外食業での特定技能1号の新規受入が停止された。すでに在籍している外国人の更新は引き続き可能だが、新規採用は現時点では行えない(停止解除の時期は未定)。

建設分野

できる業務(主たる業務):
建設分野には「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3業務区分があり、それぞれ以下のような業務が含まれる。

業務区分主な業務内容
土木土木施設の新設・改築・維持・修繕(道路・橋梁・河川など)
建築建築物の新設・増改築・修繕・解体(内装含む)
ライフライン・設備電気・ガス・水道・空調・通信設備の設置・変更・修繕

できない業務(典型的なNG例):

  • 指定書の業務区分(例:「建築」)とは異なる区分(例:「土木」)の工事への従事 → 指定書の区分外
  • 建設現場の警備業務 → 警備は対象分野外
  • 内装工事のみの会社に建設土木の区分で採用 → 実際の業務と一致しない

農業分野

できる業務(主たる業務):

業務区分主な業務内容
耕種農業栽培管理(播種・施肥・農薬散布・収穫)、農産物の集出荷・選別
畜産農業家畜の飼養管理(給餌・搾乳)、畜産物の生産(集卵・食肉処理補助)、環境管理

農業分野は派遣形態での就労も可能な数少ない分野の一つ。季節変動が大きい農業の特性に配慮した規定だ。

できない業務(典型的なNG例):

  • 農産物の加工・食品製造工場での業務 → 飲食料品製造業の分野
  • 農機具の修理・メンテナンス専従 → 主たる農業業務でないとNG
  • 農家レストランでの接客専従 → 外食業の分野

製造業3分野(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)

製造業は3分野が統合され、「製造分野特定技能1号評価試験」で合格した場合、以下の業務区分の中から指定される。

業務区分主な対象業務(例)
鋳造鋳型の製作、溶融金属の鋳込み、鋳物の取り出し・仕上げ
金属プレス加工プレス機械の操作、金型のセッティング
溶接各種溶接作業(被覆アーク・MIG・TIG等)
機械保全設備の点検・修理・保全作業
電気機器組立て電気機器・部品の組立・調整・検査
塗装工業製品の塗装業務

できない業務(典型的なNG例):

  • 製造ラインへの配属なしに「製品の配送ドライバー専従」→ 製造業務が主体でない
  • 本来と異なる業務区分への従事(「溶接」区分の人を「機械保全」専従にする等)

宿泊分野

できる業務(主たる業務):
フロント業務(チェックイン・チェックアウト・接客案内)、客室清掃・整備、レストラン・ラウンジでの飲食サービス、宿泊施設の設備管理補助

できない業務(典型的なNG例):

  • ホテルの宴会場における婚礼・葬儀のみ → 一般旅館業に附属しない特定用途の場合は要確認
  • ホテル内のスパ・エステ・マッサージ専従 → 宿泊業の主業務でないと判断される場合がある
  • 旅行代理店業務 → 宿泊業 ≠ 旅行業

自動車整備分野

できる業務(主たる業務):
自動車の日常点検整備(タイヤ・オイル・灯火類の確認)、定期点検整備(法定点検)、分解整備(エンジン・ブレーキ等の分解を伴う整備)

できない業務(典型的なNG例):

  • 車の販売・営業業務のみ → 整備が主体でないとNG
  • カーシェアリングや代車手配のみ → 整備業務を伴わない
  • 板金塗装専門 → 自動車整備分野の業務区分に含まれない可能性あり(要確認)

─── 第4章:「関連業務」のルール ─── 実はここで判断が分かれる

「関連業務」は特定技能の業務管理で最も誤解が多いポイントだ。「主たる業務の合間に行う関連業務はOK」という規定を、「何でもやらせていい」と拡大解釈してしまうケースが多い。

関連業務のルール3原則

原則①:同じ職場の日本人も通常やっている業務であること

飲食料品製造業の現場で、日本人従業員が製造ラインの清掃も担当しているなら、特定技能外国人も同様に清掃補助を関連業務として行うことができる。しかし日本人がやっていない業務を外国人だけに担わせることはできない。

原則②:主たる業務が業務時間の半分以上であること

関連業務を行う時間は、全業務時間の半分未満に収める必要がある。「今月は繁忙期だから」と関連業務の時間が主たる業務を超えてしまうと違反のリスクが生じる。

原則③:関連業務は「主たる業務に付随して」行うこと

「主たる業務をしながら合間に行う」のが関連業務だ。別の日に全日関連業務だけをさせる、という扱いは認められない。

関連業務と判断されやすい業務の例

分野主たる業務関連業務として認められやすい例
介護身体介護食事の準備・配膳・片付け、居室の簡単な清掃
飲食料品製造食品の製造加工製造ラインの清掃、原材料の搬入補助
建設(建築)建築工事資材の搬入・整理、現場の清掃
農業(耕種)栽培管理・収穫農道の整備補助、農具・機械の日常清掃
宿泊フロント・客室清掃館内の共用部清掃、アメニティの補充

注意が必要なグレーゾーン

関連業務かどうかの判断に迷う場合は、入管庁に事前相談することを強く勧める。「問題ないだろう」と自己判断して進めると、後で問題が発覚したときに「知らなかった」が通用しない。


─── 第5章:企業が陥りやすい落とし穴 TOP5 ───

落とし穴① 「業種が同じだから大丈夫」という思い込み

典型例:
飲食料品製造業の特定技能外国人を、グループ会社の外食業(レストラン)に「応援」として派遣する。

なぜNG?:
飲食料品製造業と外食業は別の分野。同じ「食品関係」でも、指定書に記載された分野以外での就労は違法となる。また、農業・漁業以外で派遣形態を使うことも禁止されている。

落とし穴② 現場の「人手が足りない」で他部門に回す

典型例:
製造ラインの特定技能外国人が繁忙期に、倉庫の商品仕分け・梱包業務に全日配属される。

なぜNG?:
倉庫業務が製造業の指定書に含まれる関連業務の範囲内かどうかを確認せずに行うと、主たる業務外の業務に専従させていると判断される可能性がある。「繁忙期対応」という理由も、制度上の免罪符にはならない。

落とし穴③ 「指定書」の確認を採用時に行っていない

典型例:
紹介会社経由で採用し、「特定技能ビザを持っている」と聞いて安心して採用。実際には指定書の業務区分が自社の業務と一致していなかった。

なぜNG?:
特定技能外国人が転職する際は、新しい在留資格申請(在留資格変更か就労資格証明書)が必要なケースがある。指定書の業務区分が現職場と異なる場合、適切な手続きを踏まずに就労させると不法就労となる。

対策: 採用時に必ず指定書の現物を確認し、自社の業務と一致しているかを確かめる。

落とし穴④ 採用後に業務内容が変わったのに届出をしない

典型例:
入管庁に届け出た業務内容(雇用契約書の内容)から、実態が変わったが届出を更新していない。

なぜNG?:
受入機関は、雇用内容に変更があった場合に所属機関変更の届出(現在は年1回の定期報告に変更)を行う義務がある。届出内容と実態が乖離していると、虚偽届出とみなされる可能性がある。

対策: 業務内容を変更するときは必ず担当行政書士や登録支援機関に相談し、必要な届出を行う。

落とし穴⑤ 「清掃だけ」「搬入だけ」といった特定作業への集中配置

典型例:
建設分野の特定技能外国人に、毎日現場の清掃と廃材搬出だけをさせている。「建設現場の仕事だからOK」と思っていた。

なぜNG?:
清掃・搬出が関連業務として認められるとしても、主たる業務(建設工事の実作業)をほとんど行わせていない状態では、関連業務の原則(主たる業務が半分以上)を満たさない。


─── 第6章:分野外で特定技能を使えない業種(採用不可の分野) ───

以下の業種・職種では、そもそも特定技能制度での採用ができない。誤って求人を出してしまうケースもあるので、採用前に必ず確認しよう。

特定技能で採用できない代表的な職種・分野

業種・職種採用できない理由
警備業(ガードマン、施設警備等)特定技能の対象16分野に含まれていない
医療・看護(病院の看護師・医師等)専門職ルート(看護師・医師の資格取得)が別にある
一般小売業(コンビニ・スーパーの販売員等)対象分野外(外食業・飲食料品製造業は別途OK)
理美容業(美容師・理容師)対象分野外
一般オフィス事務(データ入力・総務等)対象分野外
トラック・配送ドライバー(単独の運送業)自動車運送業は1号のみ対応、運送業単独の採用は要確認
清掃業(ビルクリーニング以外の一般清掃業)ビルクリーニング分野は対象だが、一般清掃会社での採用には条件がある

2024年追加4分野の注意点

2024年3月の閣議決定で追加された「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野は、現時点では特定技能1号のみ対応(2号への移行は今後の検討課題)。採用する際は最新の分野別要領を必ず確認すること。

「介護」は対象だが施設の種類に注意

介護分野は特定技能の対象だが、就労できる施設の種類に制限がある。訪問介護については、2024年より一定の経験を持つ者については認められるようになったが、詳細な条件があるため事前確認が必要だ。


─── 第7章:現場で使える「業務適法チェックリスト」 ───

日々の業務管理の中で、特定技能外国人に任せる仕事が適切かどうかを確認するためのチェックリストを作成した。

新しく業務を追加・変更するときのチェックリスト

  • □ 指定書に記載された分野・業務区分を確認した
  • □ その業務が「主たる業務」または「関連業務」のどちらに該当するか確認した
  • □ 主たる業務が全業務時間の50%以上確保できる
  • □ 関連業務は同じ職場の日本人従業員も通常行っている業務だ
  • □ 業務を行う事業所が届出先の事業所と一致している
  • □ 派遣・出向形態の場合、農業・漁業分野であることを確認した
  • □ 業務内容の変更を担当者・支援機関に報告した

採用選考時のチェックリスト

  • □ 候補者の指定書(または在留カード)を直接確認した
  • □ 指定書の分野・業務区分が自社の業務と一致している
  • □ 在留期間が十分残っている(または更新申請中)
  • □ 自社が当該分野の受入機関として届出している
  • □ 転職者の場合、前職の退職・在留資格変更手続きが適切に行われている
  • □ 雇用契約書の業務内容が指定書と一致している

定期確認チェックリスト(月1回を推奨)

  • □ 実際の業務内容が雇用契約書・届出内容と一致している
  • □ 主たる業務の時間割合が50%以上確保されている
  • □ 業務内容に変更がある場合、届出・報告を実施した
  • □ 外国人本人が業務範囲について理解している(母国語での説明済み)
  • □ 在留期限を確認し、更新が必要な場合は準備を開始した

─── 第8章:「業務範囲の判断に迷ったとき」の相談先と手順 ───

相談先一覧

業務範囲の判断に迷ったとき、独断で判断するのは危険だ。以下の相談先に問い合わせよう。

相談先対応内容費用
登録支援機関日常的な業務管理の確認・アドバイス契約内(月額委託料)
担当行政書士個別ケースの法的判断・届出手続き個別費用が発生
出入国在留管理庁(入管庁)地方局制度解釈の照会無料
各分野の所管省庁分野別要領の解釈・確認無料

問い合わせのポイント

入管庁や省庁への問い合わせは、以下の情報を整理してから行うとスムーズだ。

  • 雇用している外国人の分野・業務区分(指定書の記載内容)
  • 現在の業務内容(主たる業務・時間割合)
  • 追加・変更しようとしている業務の具体的な内容
  • その業務を行う事業所の業種・事業内容

判断が困難な場合の「安全サイド」の原則

どうしても判断がつかない場合は「しない」が基本だ。業務範囲外の業務をさせた場合の罰則は、受入機関に対して出入国管理法上の罰則(不法就労助長罪)が適用されるリスクがある。在留資格取り消しや業務停止命令につながる可能性もあり、軽く考えてはいけない。


─── 第9章:企業が今すぐできる業務管理の整備ステップ ───

ステップ1:指定書の一覧化(今週中)

現在雇用中の特定技能外国人全員について、指定書の内容(分野・業務区分・在留期限)をExcel等に一覧化する。意外と「誰の指定書も確認していなかった」というケースがある。

氏名国籍分野業務区分在留期限担当業務(現在)
〇〇さんベトナム飲食料品製造業飲食料品製造業全般2027年3月製造ライン
〇〇さんフィリピン介護介護2027年8月身体介護

(※これは概算表示例です。実際の内容は各社の指定書に基づき確認してください)

ステップ2:業務内容と指定書の照合(来週中)

一覧化した指定書の内容と、現在の実際の業務内容を比較する。「指定書:建設(土木)→ 実際の業務:建築工事が主体」のようなズレがないかを確認する。

ステップ3:関連業務の時間割合を確認(今月中)

勤務記録(タイムシートや日報)をもとに、主たる業務と関連業務の時間割合を算出する。関連業務が50%以上になっているケースがあれば、即座に業務割り当てを見直す。

ステップ4:現場責任者への周知(翌月)

現場の班長・工場長・施設長など、実際に外国人従業員に指示を出す立場の人に、業務範囲のルールを説明する。「気を利かせて他の仕事を頼んだ」が違法行為になるリスクがあることを理解してもらう。

ステップ5:支援機関との定期ミーティングの設定(随時)

登録支援機関(とうろくしえんきかん:外国人の就労支援を業として行う機関)との月次ミーティングに「業務内容の確認」を議題として追加する。第三者の目で定期的にチェックすることで、気づきにくいズレを早期発見できる。


─── まとめ ───

「特定技能で採用できる職種・できない職種の見分け方」をまとめると、判断の核心は3つだ。

今日から使える3つの原則

原則① 指定書が全ての基準
特定技能外国人が従事できる業務は、パスポートに貼付された「指定書」に記載された分野・業務区分が唯一の基準。「うちの業界に近い仕事だから」は理由にならない。

原則② 主たる業務が50%以上
関連業務を行わせることは認められているが、主たる業務が業務時間全体の半分以上であることが絶対条件。清掃・搬入などの関連業務だけに専従させることは違法。

原則③ 迷ったら動かない・相談する
業務範囲の判断に迷ったときは、自己判断で進めず、登録支援機関・行政書士・入管庁に必ず相談する。判断に迷うケースほど、後でトラブルになりやすい。

明日から始めてほしいこと

アクション所要時間優先度
雇用中の全外国人の指定書を確認し一覧化する30分〜1時間★★★(最優先)
現在の業務内容と指定書の業務区分を照合する1〜2時間★★★(最優先)
現場責任者に業務範囲ルールを周知する30分★★(今月中)
登録支援機関との次回ミーティングに業務確認を追加する5分(連絡するだけ)★★(今月中)
分野別運用要領を入管庁サイトからダウンロードして保管15分★(できれば)

特定技能制度は「採用して終わり」ではなく、「採用後の管理が本番」だ。日々の業務管理を丁寧に行うことが、外国人材との長期的な信頼関係と自社のリスク回避につながる。今回紹介したチェックリストをぜひ現場で活用してほしい。


この記事は2026年5月時点の情報に基づいています。特定技能制度の運用要領や分野別要領は随時改正されるため、最新情報は出入国在留管理庁の公式サイトで必ず確認してください。

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