特定技能1号の対象16分野を一覧で解説【2026年最新】


─── はじめに ───

「特定技能って、うちの業種は使えるんですか?」

先日、ある食品加工会社の経営者からこう聞かれた。「名前は聞いたことあるけど、どこの分野で使えるのかわからなくて……」と続けた彼は、採用に頭を抱えていた。求人を出しても応募が来ない。地元の若者は都市部へ流れていく。パートの主婦もどんどん少なくなっている。

気持ちはよくわかる。「特定技能」という言葉はニュースでよく聞くのに、「うちは使えるのか」「どんな手続きが必要なのか」がなかなかわからない。検索しても法律の文章ばかり出てきて、結局どこが使えるのか整理できない、という声は少なくない。

この記事では、2026年時点での特定技能1号の対象分野を全て一覧で整理し、各分野の業務内容・受け入れのポイント・必要な試験・企業として知っておくべき注意点をわかりやすく解説する。制度を網羅的に理解したい採用担当者・経営者に向けて、実務で使える情報をまとめた。

まず最初にお伝えしておきたいことがある。タイトルに「12分野」と書いてあるが、正確には2026年現在、対象分野は16分野に拡大している。2019年の制度開始時は12分野だったが、2024年3月29日の閣議決定で新たに4分野が追加された。この記事では、元の12分野を丁寧に解説したうえで、新たに追加された4分野も紹介する。


─── 第1章:そもそも「特定技能」って何?(完全初心者向け) ───

特定技能とは

特定技能(とくていぎのう)とは、日本で人手不足が深刻な特定の産業分野において、即戦力となる外国人を受け入れるための在留資格(ざいりゅうしかく:日本に住んで働くための許可証)だ。2019年4月に始まった制度で、技術や日本語力の一定水準を証明した外国人が、その分野で働くことができる。

特定技能には「1号」と「2号」がある。

項目特定技能1号特定技能2号
在留期間最長5年(通算)上限なし(更新可)
家族の帯同原則不可可能
受け入れ分野16分野11分野(2026年時点)
スキルレベル相当程度の知識・経験熟練した技能
支援義務受入機関または登録支援機関が支援必要支援義務なし

この記事で解説するのは「特定技能1号」だ。企業が最初に活用することが多く、対象分野も広い。

技能実習・育成就労との違い

「技能実習と何が違うの?」という疑問もよく聞く。簡単に整理しておこう。

制度目的期間転職
技能実習(廃止予定)技術移転(国際協力が名目)最大5年原則禁止
育成就労(2027年〜)特定技能への移行を前提とした人材育成原則3年条件付き可
特定技能1号即戦力として働く最長5年同分野内で自由

特定技能1号は「試験に合格した即戦力」を雇う制度だ。技能実習のように「育てながら働かせる」のではなく、最初から一定の技術・日本語力を持った人材が来る点が大きな特徴だ。


─── 第2章:2026年現在の対象16分野 一覧 ───

2026年6月時点で、特定技能1号の対象分野は以下の16分野だ。元の12分野(2019年開始時)と2024年追加の4分野に分けて整理した。

元からある12分野

No.分野主な業種・業務5年間受け入れ見込数(2024〜2028年度)
1介護老人ホーム・デイサービス等での身体介護135,000人
2ビルクリーニングオフィスビル・商業施設等の清掃37,000人
3素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業鋳造・プレス・溶接・機械加工等173,300人
4建設土木・建築工事、型枠施工等80,000人
5造船・舶用工業船体溶接・塗装・機械加工等13,000人
6自動車整備自動車の点検・整備・修理7,000人
7航空空港グランドハンドリング・航空機整備3,500人
8宿泊ホテル・旅館のフロント・接客・清掃等23,000人
9農業耕種農業(野菜・果物等)・畜産農業56,000人
10漁業漁船漁業・養殖業9,000人
11飲食料品製造業食品・飲料の製造・加工・包装139,000人
12外食業レストラン・飲食店でのホール・調理等50,000人 ※新規停止中

2024年追加の4分野

No.分野主な業務5年間受け入れ見込数(2024〜2028年度)
13自動車運送業バス・タクシー・トラック運転24,500人
14鉄道運輸係員・軌道整備・電気設備整備・車両製造・車両整備3,800人
15林業造林・保育・伐採等の林業作業1,000人
16木材産業製材・合板製造等の木材加工5,000人

合計:2024〜2028年度の5年間で約82万人の受け入れを見込む(政府目標値)


─── 第3章:12分野の詳細解説(1)介護・ビルクリーニング ───

1. 介護分野

どんな業務か: 特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、デイサービス、グループホームなどで働く介護職員として、食事介助・入浴介助・排泄介助・移動介助などの身体介護および関連する生活支援を行う。

企業として知っておくこと:

  • 受け入れ人数の上限がある:1事業所(施設)ごとに、日本人等の常勤介護職員の総数を超えることはできない。例えば、日本人常勤スタッフが10人の施設は、特定技能外国人を10人まで受け入れられる(※概算例)。
  • 介護福祉士を取得すれば「介護」の在留資格へ変更可能:長期的に育てたい人材には、介護福祉士国家試験の受験を促す選択肢もある。

必要な試験:

試験名実施主体
介護技能評価試験EPA介護事業者団体連合会
介護日本語評価試験同上
日本語能力試験(JLPT)N4相当 または 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)各団体

介護は唯一、技能試験に加えて介護分野固有の日本語試験(介護日本語評価試験)が必要な分野だ。利用者とのコミュニケーションが安全に直結するため、一般的な日本語試験よりも上乗せの要件がある。

仕事での活用例: 早朝・夜間のシフトが埋まらない特養で、夜勤補助として特定技能1号の介護士が活躍するケースが増えている。日本人スタッフと組んで働くことで、コミュニケーションの問題も出にくい。


2. ビルクリーニング分野

どんな業務か: 商業施設・オフィスビル・病院・ホテルなどにおける、建物内部の清掃作業全般。ガラス清掃・床洗浄・トイレ清掃・高所清掃など、さまざまな清掃技術が求められる。

企業として知っておくこと:

  • 受け入れ可能な人数に企業ごとの明確な上限はない(分野全体の上限枠内)。
  • 建物の種類によって使う洗剤・機材が異なるため、OJT(職場内訓練)の組み方が重要になる。

必要な試験:

試験名実施主体
ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験公益社団法人全国ビルメンテナンス協会
日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)各団体

仕事での活用例: 夜間清掃のシフトが特に人手不足になりやすいビルメンテナンス会社で、特定技能外国人がコアメンバーとして戦力になっている。


─── 第4章:12分野の詳細解説(2)製造・建設・造船 ───

3. 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業

どんな業務か: 製造業の中で最も受け入れ人数が多い分野(5年間の見込数173,300人)。鋳造(ちゅうぞう:金属を溶かして型に流し込む作業)、プレス、鍛造(たんぞう:金属を叩いて成形する作業)、溶接、切削加工、機械組み立て、電子機器製造など多岐にわたる。

2024年の制度整理により、以前は「素形材産業」「産業機械製造業」「電気電子情報関連産業」の3つに分かれていた分野が「工業製品製造業」として一本化された。

企業として知っておくこと:

  • 対象となる作業の「業務区分」が細かく決まっている。自社工場の作業が対象区分に入っているかの確認が必要だ。
  • 受け入れ企業の常勤職員数に対する上限はない(介護・建設と異なる点)。

必要な試験:

試験名実施主体
製造分野特定技能1号評価試験(業務区分ごとに異なる)一般社団法人日本鉄鋼連盟 ほか
日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)各団体

仕事での活用例: 溶接工の高齢化が進む金属加工会社で、フィリピン・ベトナム・インドネシアからの特定技能人材が現場の中核を担うケースが増えている。


4. 建設分野

どんな業務か: 土木工事・建築工事の現場作業。型枠施工(かたわくせこう:コンクリートを流し込む型を作る作業)、鉄筋施工、内装仕上げ・表装、屋根ふき、塗装、電気通信工事など、19の作業区分がある。

企業として知っておくこと:

  • 受け入れ人数の上限あり:受け入れ企業の常勤職員の総数を超えてはならない(常勤50名の会社なら最大50名まで)(※概算例)。
  • 建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録が必須:外国人・日本人を問わず、建設現場での就労履歴を管理するためのシステムへの事業者登録が必要。
  • JACへの加入が必要:一般社団法人建設技能人材機構(JAC)への直接加入または加盟団体への加入が受け入れ要件となっている。

必要な試験:

試験名実施主体
建設分野特定技能1号評価試験(作業区分ごとに実施)一般社団法人建設技能人材機構(JAC)
日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)各団体

仕事での活用例: 大工職人の後継者が見つからない工務店が、建設分野特定技能1号で内装施工スタッフを確保した事例がある。技能実習から特定技能への移行組が多い分野のひとつ。


5. 造船・舶用工業分野

どんな業務か: 船舶の建造・修繕に関わる作業。溶接・塗装・鉄工・仕上げ・機械加工・電気機器組み立て・船体組み立てなど、6つの業務区分がある。

企業として知っておくこと:

  • 造船・舶用工業分野の受け入れ企業は造船・舶用工業に係る事業所であることが条件。
  • 「舶用工業(はくようこうぎょう)」とは、船のエンジン・プロペラ・甲板機器など船に搭載する機器を作る産業のこと。造船所だけでなく、その周辺メーカーも対象になる。

必要な試験:

試験名実施主体
造船・舶用工業分野特定技能1号試験(業務区分ごと)一般社団法人日本船舶海洋工学会
日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)各団体

仕事での活用例: 長崎・今治など造船が盛んな地域では、造船所の溶接工として特定技能1号の外国人が欠かせない存在になっている。


─── 第5章:12分野の詳細解説(3)自動車整備・航空・宿泊 ───

6. 自動車整備分野

どんな業務か: ガソリン車・ハイブリッド車・電気自動車などの点検・整備・修理。日常点検整備・定期点検整備・分解整備など、車検業務を中心とした整備作業全般。

企業として知っておくこと:

  • 受け入れ企業は「地方運輸局長の認証を受けた自動車分解整備事業を営む事業者」である必要がある。一般的な整備工場・ディーラーは対象になる。
  • 受け入れ見込数が7,000人と比較的少ない分野。整備士不足の問題が深刻な分野だが、試験の難易度もあり採用競争がある。

必要な試験:

試験名実施主体
自動車整備分野特定技能1号評価試験一般社団法人日本自動車整備振興会連合会
日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)各団体

仕事での活用例: フィリピン・インドネシア出身で自国の整備経験がある人材が多く、自動車整備士2級(日本の資格)の取得を目指しながら現場で活躍するケースがある。


7. 航空分野

どんな業務か: 空港内での地上業務(グランドハンドリング)と航空機整備の2区分。グランドハンドリングとは、旅客のチェックイン業務・手荷物の搭載・航空機の誘導などの地上業務全般を指す。

企業として知っておくこと:

  • 対象は「航空機の運航に必要な業務を行う事業者(空港グランドハンドリング会社・航空機整備会社)」に限定。航空会社本体でのCAや操縦士への適用は対象外。
  • 5年間受け入れ見込数が3,500人と少ない分野。採用機会が限られる。

必要な試験:

試験名実施主体
特定技能評価試験(空港グランドハンドリング)一般社団法人日本航空技術協会
特定技能評価試験(航空機整備)同上
日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)各団体

仕事での活用例: 成田・関西などの国際空港で、手荷物搭降載(ランプ業務)を担うグランドスタッフとして活躍するケースが出てきている。


8. 宿泊分野

どんな業務か: ホテル・旅館でのフロント業務・客室清掃・レストランでの接客・調理補助など、宿泊業に係るサービス全般。「宿泊施設のサービスに係る業務」として幅広い業務が対象になる。

企業として知っておくこと:

  • 小規模旅館での受け入れも可能だが、外国人を支援するための体制整備が求められる(受け入れ後の生活支援・相談対応等)。
  • 外国語を話せる外国人スタッフは、インバウンド(訪日外国人旅行者)対応でも重宝される。特に英語・中国語・韓国語話者は現場のニーズが高い。

必要な試験:

試験名実施主体
宿泊分野特定技能1号評価試験一般社団法人宿泊業技能試験センター
日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)各団体

仕事での活用例: 京都の老舗旅館で、中国語・英語が話せる特定技能スタッフがフロント業務を担当。外国人観光客の対応クオリティが大幅に上がったという事例が報告されている。


─── 第6章:12分野の詳細解説(4)農業・漁業・飲食料品製造・外食業 ───

9. 農業分野

どんな業務か: 耕種農業(こうしゅのうぎょう:野菜・果物・花きなどの栽培)と畜産農業(家畜の飼育・管理)の2区分。播種(はしゅ:種まき)・定植・収穫・調製・出荷などの農作業全般が対象。

企業として知っておくこと:

  • 派遣形態での受け入れが認められている唯一の分野の一つ(農業・漁業は派遣可)。農業の仕事は季節によって繁閑の差が大きいため、派遣という形で複数農家に派遣する仕組みが認められている。
  • 農業法人はもちろん、個人農家でも受け入れ可能(ただし適切な支援体制が必要)。

必要な試験:

試験名実施主体
農業技能測定試験(耕種農業全般・畜産農業全般)一般社団法人全国農業会議所
日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)各団体

仕事での活用例: 熊本のトマト農家で、収穫期だけでなく通年で特定技能外国人を雇用している事例がある。派遣を活用して、農繁期に増員・農閑期に他農家へ、という使い方もできる。


10. 漁業分野

どんな業務か: 漁船漁業(底びき網・巻き網・延縄・定置網など)と養殖業(魚・貝・海藻など)の2区分。漁獲作業・漁具の手入れ・魚の選別・養殖施設の管理・餌の管理など。

企業として知っておくこと:

  • 農業と同様、派遣形態が認められている。漁協や派遣会社を通じた受け入れが可能。
  • 漁業は離島・沿岸部での受け入れが多い分野。住居の確保・生活環境の整備が採用の成否に影響しやすい。

必要な試験:

試験名実施主体
漁業技能測定試験(漁船漁業・養殖業)一般社団法人大日本水産会
日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)各団体

仕事での活用例: 高齢化が深刻な沿岸漁業の現場で、インドネシアからの特定技能漁業者が定置網漁業の即戦力として働いている事例がある。


11. 飲食料品製造業分野

どんな業務か: 食品・飲料の製造・加工・包装・出荷業務全般。惣菜・弁当・パン・乳製品・水産加工品・農産物加工品など、食品全般の製造ラインでの作業が対象。

企業として知っておくこと:

  • 5年間の受け入れ見込数が139,000人と多く、実際の在留者数も増加している人気の分野。
  • 製造業に近い環境なので、工場勤務経験者の採用が比較的スムーズ。
  • 外食業と異なり、2026年現在も新規受け入れは継続中。

必要な試験:

試験名実施主体
飲食料品製造業技能測定試験一般社団法人外食業技能試験センター
日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)各団体

仕事での活用例: 惣菜メーカーで、製造ラインの盛り付け・包装工程に特定技能外国人を導入。時給制から月給制への切り替えで長期定着率が大幅に改善した事例がある。


12. 外食業分野 ※2026年4月13日より新規受け入れ原則停止

どんな業務か: レストラン・居酒屋・ファストフード・カフェ等の飲食店でのホール接客・調理・食品衛生管理・食材の仕込みなど、飲食店の運営に係る業務全般。

【重要】2026年4月13日以降、新規受け入れが原則停止中

2026年2月末時点で、外食業分野の在留者数が約4万6,000人に達し、5年間の受け入れ上限(50,000人)に近づいたことを受け、政府は2026年4月13日以降の新規受け入れを原則停止した。

項目内容
停止開始日2026年4月13日
停止内容在留資格認定証明書(海外からの新規入国)不交付、他在留資格からの変更不許可
継続可能なケース既存の特定技能外国人の在留期間更新、同分野内での転職
代替手段「飲食料品製造業」分野での採用、外食業で既に働いている外国人の転職採用

飲食業の企業は現時点で新規採用が難しくなっているため、「飲食料品製造業」への切り替えや、既存の特定技能人材の転職採用を検討するのが現実的な対応策だ。


─── 第7章:2024年追加の4分野をざっくり解説 ───

2024年3月の閣議決定で追加された4分野についても、簡単に触れておく。

13. 自動車運送業

バス・タクシー・トラックの運転者として働く分野。日本語試験・技能試験のほかに、日本の運転免許の取得が必要(外国の免許から切り替え要)。5年間で24,500人の受け入れを見込む。物流・旅客輸送の担い手不足解消が期待されている。

14. 鉄道

鉄道の運輸係員(運転士・車掌・駅係員)、軌道整備、電気設備整備、車両製造・整備の5区分。鉄道は安全性への要求が非常に高く、試験・訓練の内容も他分野より厳しい。5年間で3,800人。

15. 林業

植林・下刈り・間伐・伐採など山林での作業。過疎地での受け入れが多くなる見込みで、生活環境の整備が採用の重要課題。5年間で1,000人。

16. 木材産業

製材・合板製造など木材加工工場での作業。林業と連動した分野で、木材産業の担い手不足を補う役割が期待される。5年間で5,000人。


─── 第8章:企業が特定技能1号を受け入れるための流れ ───

「使えそうな分野がわかった。じゃあ、実際にどうやって採用するの?」という疑問に答えておこう。大まかな流れは以下の通りだ。

ステップ内容目安期間
1. 求人・選考人材紹介会社・求人サイトを通じて候補者を探す1〜3ヶ月
2. 雇用契約の締結母国語での条件説明が必要(書面交付)2週間程度
3. 支援計画の作成受入後の生活支援計画を策定2週間程度
4. 在留資格申請入管庁へ在留資格認定証明書の交付申請1〜3ヶ月(在外申請の場合)
5. 入国・受入開始本人が来日、支援開始
6. 在留資格届出雇用開始後、ハローワークへの届出雇用開始から翌月末まで

支援義務について(重要): 特定技能1号の場合、受け入れ企業は外国人に対して「生活オリエンテーション」「住居確保の補助」「定期面談」など10項目の支援を行う義務がある。これを自社でやるか、「登録支援機関(とうろくしえんきかん)」という専門業者に委託するかを選択できる。人材紹介会社の多くが登録支援機関を兼ねているため、セットで依頼するのが一般的だ。


─── 第9章:分野選びの判断ポイントと注意事項 ───

自社の業種が「どの分野」に当たるか確認する

特定技能の分野は「業種の名前」ではなく、「具体的な作業内容」で判断される。例えば食品メーカーでも、「お弁当の盛り付け・包装」なら飲食料品製造業、「社員食堂での調理・提供」なら外食業(現在停止中)になる場合があるなど、業務内容で分野が変わることがある。「うちはどの分野に当たるか」を行政書士や専門機関に確認してから進めることを強くすすめる。

試験免除のルート

以下に当てはまる人は、技能試験と日本語試験が免除される。

条件内容
技能実習2号を良好に修了した人同一分野で技能試験・日本語試験が免除
EPA介護福祉士候補者として勤務し活動内容が良好だった人介護分野の技能試験が免除
育成就労(2027年〜)3年修了者同一分野で特定技能1号への移行が可能

技能実習2号修了者は「試験ゼロ」で特定技能に移行できるため、すでに自社で技能実習生を受け入れている企業にとっては、引き続き雇用する自然なルートになる。

コスト感

特定技能1号の採用にかかる主なコスト目安を整理しておく(※あくまでも概算例です。実際は利用するサービス・地域・条件によって大きく変動します)。

費用の種類概算目安
人材紹介料年収の20〜30%程度(一人当たり)
登録支援機関への委託費月3〜5万円程度
在留資格申請費用(行政書士報酬)10〜15万円程度
住居手配費用会社負担の場合、初期費用数十万円

(※これらはいずれも概算表示例です。実際の費用は利用する機関や地域・条件によって変動します)


─── まとめ ───

この記事では、特定技能1号の対象分野を2026年最新情報をもとに解説した。要点を整理しておこう。

すぐに動けること:

  • 自社の業種・業務が「どの分野」に該当するかを確認する
  • 介護・建設は企業規模による人数上限があることを確認する
  • 外食業は2026年4月13日以降、新規受け入れが原則停止中(飲食料品製造業への切り替えを検討)

制度の全体像:

  • 2019年開始時の12分野が、2024年に4分野追加され現在は16分野
  • 5年間の受け入れ見込数は合計約82万人(2024〜2028年度)
  • 農業・漁業は派遣形態での受け入れが可能(他分野は直接雇用が原則)
  • 技能実習2号を修了した人は、同一分野での特定技能移行で試験免除

特定技能1号は、人手不足に悩む企業にとって現実的な採用手段の一つだ。制度の複雑さに尻込みせず、まずは「うちの業種は何分野か?」を確認するところから始めてみてほしい。専門の行政書士や人材紹介会社に相談すれば、思ったよりスムーズに動けることも多い。


参考:

  • 出入国在留管理庁「特定技能制度」公式サイト
  • 2024年3月29日閣議決定「特定技能の受入れ見込数の再設定及び対象分野等の追加について」
  • 出入国在留管理庁「試験関係」ページ


お問い合わせはこちら