在留資格ごとの就労可能時間・業務範囲の違いを解説【2026年最新版】


─── はじめに ───

「先月、留学生のアルバイトを面接して採用したんですが……週に何時間まで働かせていいんでしたっけ?」

飲食店を数店舗経営している知人から、採用後に慌てた様子でこんな連絡が来た。在留資格ごとに就労できる時間や業務の種類が全く違うのに、それを確認しないまま採用してしまうケースが本当に多い。

「外国人を雇うときは在留カードを確認する」という認識は広まってきたが、「その在留資格でどこまで働かせていいか」まで理解している採用担当者はまだ少ない。実はここが外国人雇用の最大のリスクポイントだ。

在留資格を超えた業務・時間で働かせると、雇用した企業も罰則の対象になる。しかも2025年6月の法改正で不法就労助長罪の罰則が強化され、最大「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」に引き上げられた。「知らなかった」では済まされない時代になっている。

この記事では、主要な在留資格を一つずつ取り上げ、就労可能な時間・業務範囲・注意点を実務的に解説する。採用担当者が手元に置いてすぐ確認できるよう、チェック表形式でまとめた。


─── 第1章:「就労制限」の仕組みを5分で理解する ───

在留資格は「日本で何をしていいかの許可証」

外国人が日本に滞在するときは必ず在留資格が必要で、在留資格の種類によって「就労できる時間」「就労できる業務の種類」が決まる。

就労可否で大きく3種類に分かれる。

分類内容代表的な在留資格
就労制限なし時間・業務の制限なし永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者
就労に制限あり特定の業務・分野のみ就労可能技術・人文知識・国際業務、特定技能、技能実習、介護など
原則就労不可(資格外活動許可で一部可)本来の在留目的が就労以外。許可を得れば週28時間まで可留学、家族滞在

「資格外活動許可」とは何か

「資格外活動許可(しかくがいかつどうきょか)」とは、本来の在留資格の活動以外の活動(=就労)を認める特別な許可のことだ。留学や家族滞在のように「原則就労不可」の在留資格を持つ人が、アルバイト等をするために取得するもの。

重要な点が2つある:

  • 許可を取っていても週28時間以内という上限がある(風俗営業等は不可)
  • 許可を取っていない状態で働かせると、雇用企業が不法就労助長罪に問われる

在留カードの裏面に「就労不可」と記載されている場合は、資格外活動許可なしでは一切就労させてはいけない。

罰則の重さを知る

2025年6月の改正出入国管理法施行により、不法就労助長罪の罰則が強化された。

行為改正前の罰則改正後の罰則(2025年6月〜)
不法就労外国人を雇用する3年以下の懲役または300万円以下の罰金5年以下の懲役または500万円以下の罰金
法人が不法就労を行わせた場合法人にも罰金刑法人にも罰金刑(上限引き上げ)

「在留カードを確認した」だけでは免責されない場合もある。「確認したが業務内容まで照合しなかった」「資格外活動許可の有無を見落とした」といった過失があれば処罰対象になりうる。


─── 第2章:就労制限なし!「永住者・定住者・日本人配偶者等」 ───

この資格を持つ人は時間も業務も制限なし

永住者(えいじゅうしゃ)、定住者(ていじゅうしゃ)、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等の4つの在留資格は、就労に一切の制限がない

比較項目内容
就労可能時間制限なし(労働基準法の範囲内)
就労できる業務制限なし(あらゆる業種・職種)
在留カード確認のポイント在留期限が切れていないことだけ確認すればOK
雇用管理の難易度最も簡単

就労制限がないため、採用後に「この業務はできません」「この時間はダメです」というトラブルが発生しない。アルバイト・パート・正社員・管理職・どんな業務でも自由に任せられる。

在留資格在留期限就労時間就労業務
永住者無期限(カードの有効期限はある)制限なし制限なし
日本人の配偶者等6ヶ月・1年・3年・5年制限なし制限なし
永住者の配偶者等6ヶ月・1年・3年・5年制限なし制限なし
定住者6ヶ月・1年・3年・5年制限なし制限なし

─── 第3章:業務範囲に制限あり!「技術・人文知識・国際業務(技人国)」 ───

技術・人文知識・国際業務(ぎじんこく)は、就労可能な時間に上限はない(労働基準法の範囲内で通常勤務できる)。ただし、従事できる業務の種類に制限がある。

比較項目内容
就労可能時間上限なし(フルタイム勤務・残業も可能)
就労できる業務ホワイトカラー業務のみ(技術・人文知識・国際業務に該当する仕事)
現場作業原則NG(製造ライン・単純作業・肉体労働)
副業・兼業本業と同一区分の業務なら可能(要確認)

就労できる業務の具体例

区分OK(就労可能)NG(就労不可)
技術SE、プログラマー、機械設計、建築設計工場ライン作業、現場の作業員
人文知識経理、法務、人事、マーケティング倉庫作業、レジ打ち、清掃
国際業務通訳、翻訳、海外営業、貿易実務単純な接客のみ(語学使用がない)

判断のポイント:

  • その外国人の専門的な知識・技術・語学力が業務に直接活かされているか?
  • 日本人従業員の誰でもできる単純作業ではないか?

─── 第4章:分野限定で時間制限なし!「特定技能」 ───

特定技能(とくていぎのう)も就労時間の上限はない(フルタイム勤務・残業可能)。ただし就労できる分野が「指定書(していしょ)」に記載された分野・業務区分に限られる。

比較項目特定技能1号特定技能2号
就労可能時間上限なし(労働基準法内)上限なし(労働基準法内)
就労できる業務指定書の分野・業務区分内のみ指定書の分野・業務区分内のみ
時間外労働36協定の締結が必要(日本人と同様)36協定の締結が必要(日本人と同様)
副業・兼業原則として難しい(指定書の業務区分外はNG)原則として難しい

時間外労働のルール

項目内容
残業の可否可能(36協定の締結が必要)
時間外労働の上限月45時間・年360時間(法定上限、特別条項なしの場合)
割増賃金時間外25%増し、深夜25%増し、休日35%増し
日本人との差別禁止(同等以上の待遇が必要)

─── 第5章:幅広い業務が可能!「特定活動(46号)」 ───

特定活動46号(とくていかつどう46ごう)は、日本の4年制大学卒業かつ日本語能力試験N1(またはBJT480点以上)を保有する外国人に認められた在留資格だ。

比較項目内容
就労可能時間上限なし(フルタイム・残業可能)
就労できる業務ホワイトカラー業務+現場作業(コンビニ・飲食・工場など幅広い業種)
条件「日本語を要する対人業務」が含まれること
就労できる例就労できない例
コンビニで日本語接客+レジ業務清掃のみ(日本語対応なし)
飲食店で通訳しながらホール業務食器洗いのみ
工場で外国人スタッフの指導+製造ライン単独で製造ラインのみ(日本語業務なし)

─── 第6章:要注意!「留学」は原則就労不可 ───

就労時間の上限

期間就労可能時間
通常期(学校がある期間)週28時間以内
長期休業期間(夏休み・冬休みなど学則で定める期間)1日8時間以内(週40時間以内相当)

週28時間は「1週間の合計」で管理する。複数のアルバイト先を掛け持ちしている場合も、合計で週28時間が上限だ。

「週28時間」の数え方のポイント

ケース合計時間判定
A店で週20時間+B店で週8時間週28時間○(ちょうど上限)
A店で週20時間+B店で週10時間週30時間✗(上限オーバー)
夏休み中1日10時間勤務1日10時間✗(長期休業中も1日8時間が上限)

留学生が就労できない業種

就労できない業種理由
風俗営業等(キャバクラ・ホストクラブ・性風俗等)法律で明示的に禁止
パチンコ・ゲームセンター等(一部施設)年齢や施設種別による

留学生アルバイトを採用する企業は、「週28時間を超えて働かせていないか」を管理する責任がある。「本人が自己申告した」では免責されない。複数のアルバイト掛け持ちがあっても、自社での勤務時間だけで管理するのではなく、本人に他の勤務時間を確認する習慣をつけることが重要だ。


─── 第7章:要注意!「家族滞在」も原則就労不可 ───

家族滞在(かぞくたいざい)は、技人国・特定技能など就労系在留資格を持つ外国人の家族(配偶者・子ども)が日本に滞在するための在留資格だ。原則就労は認められていない。

比較項目内容
原則の就労可否不可
資格外活動許可取得後週28時間以内でアルバイト可能
就労できる業務風俗営業等を除き幅広い業種でOK
在留カードの確認裏面「就労不可」→許可なしは絶対NG

在留カード裏面の確認が最重要

裏面の記載意味採用可否
就労不可資格外活動許可なし就労させてはいけない
許可(資格外活動許可:週28時間以内)資格外活動許可あり週28時間以内で就労可能

─── 第8章:育成中!「技能実習・育成就労」の就労ルール ───

比較項目技能実習育成就労(2027年〜)
就労可能時間制限なし(労働基準法内)、36協定要制限なし(労働基準法内)、36協定要
就労できる業務実習計画に記載された特定作業のみ(最も厳格)16分野内の業務区分
転籍原則不可一定条件下で可能
副業禁止禁止

技能実習の時間外労働(残業)のルール

項目内容
法定労働時間1日8時間・週40時間
残業可否36協定締結で可能
残業時間の上限月45時間・年360時間(法定上限)
割増賃金時間外25%増し以上(日本人と同一基準)
深夜労働(22時〜翌5時)25%増し以上
休日労働35%増し以上

注意:農業・漁業分野の技能実習生は「農業労働」に関する労働時間の特例規定(変形労働時間制等)が適用される場合があり、他の分野と異なる扱いになることがある。


─── 第9章:全在留資格の就労制限まとめ大全表 ───

在留資格就労可能時間就労できる業務範囲資格外活動許可
永住者無制限無制限不要
日本人の配偶者等無制限無制限不要
永住者の配偶者等無制限無制限不要
定住者無制限無制限不要
技術・人文知識・国際業務無制限(残業可)ホワイトカラー業務のみ(現場作業NG)不要
特定技能1号無制限(残業可)指定書の分野・業務区分内のみ不要
特定技能2号無制限(残業可)指定書の分野・業務区分内のみ不要
特定活動46号無制限(残業可)幅広い業種(日本語業務が含まれること)不要
介護無制限(残業可)介護業務および関連業務不要
技能実習無制限(36協定要)実習計画に記載された特定作業のみ不要(副業禁止)
育成就労(2027〜)無制限(36協定要)16分野内の業務区分不要(副業禁止)
留学週28時間以内(長期休業中は1日8時間以内)風俗営業等を除く幅広い業種必要
家族滞在週28時間以内風俗営業等を除く幅広い業種必要
短期滞在就労不可就労目的での利用は禁止取得不可
観光ビザ(査証免除含む)就労不可就労目的での利用は禁止取得不可

在留カードの見方まとめ

確認項目確認場所判断方法
在留資格の種類在留カード表面就労制限の有無を確認
在留期限在留カード表面採用時点で有効か確認
資格外活動許可の有無在留カード裏面「就労不可」→就労させてはいけない
就労制限の内容在留カード裏面「週28時間以内」等の記載を確認
指定書の業務区分指定書(別紙)特定技能・特定活動等は必ず確認

─── 第10章:よくある違反ケースと防止策 ───

違反ケース① 留学生の週28時間オーバー

典型的な経緯:
飲食店で週25時間勤務の留学生スタッフが、別の飲食店でも週10時間アルバイトをしていた。合計35時間で上限オーバー。採用企業は別のバイトの存在を把握していなかった。

防止策:
採用時に「他のアルバイトの有無と勤務時間」を書面で確認し、「合計週28時間を超えないこと」を雇用契約書に明記する。定期的に確認する仕組みも作っておく。

違反ケース② 家族滞在の資格外活動許可未確認

典型的な経緯:
パートタイムで採用した外国人の在留カード表面だけ確認し、在留期限は有効だったため採用。裏面の「就労不可」の記載を見落とし、6ヶ月間就労させ続けた。

防止策:
在留カードは表面と裏面の両方を確認する。コピーを取って保管することも有効だ。

違反ケース③ 技人国の人を現場作業に配置

典型的な経緯:
技人国で採用したベトナム人スタッフを「人手が足りないから」と製造ラインに配属。本人も断れず数週間現場で作業し続けた。

防止策:
採用時に「この在留資格でできる業務・できない業務」を担当者全員で共有し、現場責任者レベルまで周知する。

違反ケース④ 特定技能の人を別分野の業務に回す

典型的な経緯:
飲食料品製造業の特定技能で採用した外国人を、繁忙期に系列の外食業レストランに「応援」として派遣した。

防止策:
特定技能外国人の指定書を全員分管理し、業務変更・応援・異動の際は必ず指定書の確認と支援機関への相談を行う。


─── 第11章:採用前に確認すべきチェックリスト ───

採用選考時の在留資格確認チェックリスト

  • □ 在留カードの表面を確認した(在留資格の種類・在留期限)
  • □ 在留カードの裏面を確認した(就労制限・資格外活動許可の有無)
  • □ 在留期限が採用日以降も有効であることを確認した
  • □ 就労制限がある場合、自社の業務がその範囲内かを確認した
  • □ 特定技能・特定活動の場合、指定書の内容も確認した
  • □ 留学・家族滞在の場合、資格外活動許可の有無を裏面で確認した
  • □ 留学生の場合、他のアルバイトの有無と勤務時間を書面で確認した
  • □ 週28時間の上限がある場合、それを守れるシフト管理体制があるか確認した
  • □ 在留カードのコピーを採用書類として保管した
  • □ 不明な点がある場合、行政書士または入管庁に確認した

勤務中の在留資格管理チェックリスト(月次推奨)

  • □ 在留期限が近い外国人スタッフのリストを確認した(3ヶ月前から更新準備)
  • □ 留学・家族滞在スタッフの週勤務時間を確認した(28時間超えていないか)
  • □ 留学・家族滞在スタッフが他のアルバイトと合計で28時間を超えていないか確認した
  • □ 特定技能・技人国スタッフの業務内容が指定書・在留資格の範囲内かを確認した
  • □ 業務内容や配属先に変更がある場合、入管庁への届出や支援機関への連絡をした

─── まとめ ───

大分類在留資格就労時間業務制限
制限なし永住者・定住者・日本人配偶者等・永住者配偶者等無制限なし
業務範囲のみ制限技人国・特定技能・特定活動46号・技能実習など無制限あり(分野・業種・業務区分)
時間も業務も制限留学・家族滞在週28時間以内風俗営業等は不可
就労不可短期滞在・観光ビザ0時間全業種不可

採用担当者が今すぐやること

アクション優先度理由
在留カードの裏面確認を採用ルールに組み込む★★★見落としが最も多いポイント
週28時間のシフト管理体制を整備する★★★留学・家族滞在の違反は企業責任
現場責任者に在留資格のルールを周知する★★現場での「気軽な業務変更」が違反になる
不明なケースは行政書士に相談する★★自己判断でのミスを防ぐ
不法就労助長罪の罰則強化(2025年6月〜)を社内で共有★★5年以下の懲役・500万円以下の罰金

外国人雇用は「在留カードを確認した」だけで終わりではない。その在留資格で何時間まで・どんな業務が可能かを把握し、日々の業務管理の中で守り続けることが企業の責任だ。


この記事は2026年5月時点の情報に基づいています。不法就労助長罪の罰則強化(2025年6月施行)の詳細や在留資格の最新情報は、出入国在留管理庁の公式サイトで必ず確認してください。


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