査証申請料が48年ぶりに大幅改定【2026年7月update】外国人採用担当者が知っておくべき費用変更まとめ

─── はじめに ───

「ビザの申請料って、たしか数千円でしたよね?」

先日、海外拠点から技人国(技術・人文知識・国際業務、技術職や事務職向けの在留資格)で人材を受け入れる準備をしていた人事担当の知人から、こんな確認の連絡が来た。これまで何人も海外から人材を呼んでいて、申請料の感覚はすっかり定着していたようだった。

ところが、答えはその知人の想定とは大きく違うものだった。2026年6月19日、政府は在外公館(大使館・領事館)で発行する査証(ビザ)の申請料を大幅に引き上げる方針を閣議決定した。一回限り有効な査証(シングルビザ)は3,000円から15,000円へ、複数回有効な査証(マルチビザ)は6,000円から30,000円へ。実に5倍の値上げで、2026年7月1日以降の申請から適用される。査証料の改定は1978年以来、48年ぶりだという。

さらにややこしいのは、これとは別に、在留資格の変更・更新や永住許可の手数料についても、法定上限を引き上げる法案が2026年3月10日に閣議決定されていることだ。査証料は外務省が管轄する「海外での手続き」、在留資格関連の手数料は法務省・出入国在留管理庁が管轄する「国内での手続き」であり、似ているが別物の制度だ。この2つを混同して説明している記事も見かけるが、採用担当者として正確に区別しておく必要がある。

この記事では、何が・いつから・どれだけ変わるのかを整理し、外国人採用の予算管理にどう影響するかを具体的に解説する。

─── 第1章:そもそも「査証(ビザ)」と「在留資格」は何が違う? ───

外国人採用の費用の話をする前に、まず前提を整理しておきたい。「ビザ」と「在留資格」は日常会話では同じ意味で使われがちだが、制度上は別物だ。

項目査証(ビザ)在留資格
何のための手続きか日本に入国するための「入国の許可証」にあたるもの日本国内に滞在し、活動するための資格
発行・管轄機関外務省(在外公館=大使館・領事館)法務省・出入国在留管理庁
取得する場所海外(本人の居住国の日本大使館・領事館)日本国内(出入国在留管理局)
手続きのタイミング来日前来日後の変更・更新・永住許可など
今回の改定対象2026年6月19日閣議決定で申請料を引き上げ2026年3月10日閣議決定の法案で法定上限を引き上げ

仕事でこう使える:海外から技人国や特定技能の人材を呼ぶ場合、まず「在留資格認定証明書」を国内の出入国在留管理局で取得し、それを使って本人が現地の日本大使館・領事館で「査証」を申請するという2段階の手続きになる。今回の改定は、このうち査証の申請料(海外での手続き費用)が先に大きく上がる、というのが今回のニュースの中心だ。在留資格側の手数料も今後上がる見込みだが、こちらは「いつ・いくらになるか」がまだ確定していない部分が多い(詳細は第3章)。

─── 第2章:査証料の改定内容(2026年7月1日から) ───

改定の全体像

項目改定前改定後変更率
一次査証(シングルビザ、一回限り有効)3,000円15,000円5倍
数次査証(マルチビザ、複数回有効)6,000円30,000円5倍
改定の根拠1978年に設定した金額のまま2026年6月19日閣議決定48年ぶりの改定
適用開始日2026年7月1日以降の申請

外務省は、円安の進行や物価上昇を踏まえ、査証発給にかかる事務コストとの整合性を取るための改定だと説明している。報道では、米国の査証料(185ドル、概算で28,000円程度)や英国の査証料(127ポンド、概算で26,000円程度)と比較して、日本の査証料がこれまで著しく低かった点が指摘されている(※これは報道時点のレート換算の概算例です。実際の円換算額は申請時点の為替レートにより変動します)。

仕事でこう使える:海外拠点からの技人国・特定技能人材の受け入れを年間複数人計画している企業では、1人あたりの査証料が3,000円から15,000円(一次査証の場合)に上がることで、人数分の単純計算でも費用が増える。例えば年間10名を受け入れる計画なら、査証料だけで従来3万円程度だった負担が15万円程度になる(※これは概算表示例です。実際は査証の種類・人数・為替により変動します)。来年度の採用予算を組む際は、この差額を見込んでおく必要がある。

注意したいポイント

  • 適用開始日は「申請日」基準:2026年7月1日より前に申請が受理されていれば旧料金が適用される可能性が高いと見られるが、運用の詳細は外務省・在外公館の告知を確認すること(要確認:申請受理日と支払いタイミングの扱いは在外公館ごとの運用も含めて最新情報を確認するのが確実)。
  • 対象は査証のみ:今回の改定は外務省が管轄する査証申請料の話であり、国内での在留資格変更・更新・永住許可の手数料(法務省・出入国在留管理庁の管轄)は別の手続き・別のスケジュールで改定が検討されている(次章で解説)。
  • 免除・減免の枠組みは要確認:査証の種類や国によっては、これまでも査証料免除の取り扱いがある国・地域が存在する。改定後にこの免除枠がどう扱われるかは、外務省の最新の告知を確認する必要がある(要確認)。

─── 第3章:在留資格関連の手数料も上限引き上げへ(法務省・出入国在留管理庁) ───

査証料の改定と並行して、もう一つ重要な制度変更が進んでいる。2026年3月10日、政府は出入国管理及び難民認定法の改正案を閣議決定した。この法案には、在留資格の変更・更新許可申請の手数料、および永住許可申請の手数料について、法律で定める上限額(法定上限)を引き上げる内容が含まれている。

法定上限の改定内容

項目現行の法定上限改定後の法定上限
在留資格変更・更新許可申請手数料10,000円100,000円
永住許可申請手数料10,000円300,000円

ここで重要なのは、これは「法律で定めることができる上限額」の引き上げであり、実際に窓口で支払う手数料の金額そのものではないという点だ。実際の手数料額は、この法律が成立した後、政令や規則で別途定められる。つまり、現時点(2026年6月)では「最大いくらまで設定できるようになるか」が決まった段階であり、「実際にいくらになるか」はまだ確定していない(要確認:実際の手数料額は今後の政令・規則の公布を確認する必要がある)。

仕事でこう使える:技人国や特定技能で在留資格の更新を継続的に行っている企業では、この上限引き上げが「将来的に手数料が大幅に上がる可能性がある」というシグナルとして受け止めておきたい。現行の在留資格変更・更新手数料は数千円程度(オンライン申請の場合は窓口申請より500円安い設定。後述)だが、法定上限が10倍になったことは、実際の手数料も将来的に引き上げられる可能性を示している。予算計画には「現行額」と「将来上がる可能性がある額」の両方を念頭に置いておくのが安全だ。

すでに実施済みの改定(2025年4月1日)との違いに注意

今回の法定上限引き上げの前に、在留資格変更許可申請等の手数料については2025年4月1日にすでに一度改定が実施されている。この改定では、オンライン申請の手数料が窓口(対面)申請より500円安く設定された。つまり、現行の在留資格関連手数料は、今回(2026年3月閣議決定)の上限引き上げとは別の、すでに施行済みの改定が先にあるという点に注意したい。

改定内容施行状況
2025年4月1日改定オンライン申請を窓口申請より500円安く設定既に施行済み
2026年3月10日閣議決定の法案在留資格変更・更新/永住許可手数料の法定上限を10,000円→100,000円・300,000円に引き上げ法案として閣議決定。実際の手数料額・施行日は今後の政令等で確定(要確認)

実務でこう使える:在留資格更新の申請方法を選ぶ際、現時点ではオンライン申請の方が窓口申請より500円安いという既存のルールがまだ有効だ。社内で更新手続きを担当する場合、オンライン申請の体制(マイナンバーカード対応や電子申請システムの利用環境)を整えておくと、申請件数が多い企業ほど積み重なるコスト差が出てくる。

─── 第4章:査証料と在留資格手数料、混同しやすいポイントの整理 ───

ニュースやブログ記事の中には、この2つの改定を一緒に語ってしまい、「ビザの手数料が10万円になる」のように誤解を招く表現をしているものも見られる。採用担当者として混乱しないために、改めて整理しておく。

比較軸査証(外務省)在留資格関連手数料(法務省・出入国在留管理庁)
管轄省庁外務省法務省・出入国在留管理庁
手続きの場所海外の日本大使館・領事館日本国内の出入国在留管理局
2026年の動き申請料を5倍に引き上げ(閣議決定済み、2026年6月19日)法定上限を引き上げる法案を閣議決定(2026年3月10日)。実際の手数料額は今後確定
確定度金額・施行日とも確定済み法定上限のみ確定。実際の手数料額・施行日は未確定(要確認)
適用開始2026年7月1日以降の申請未確定(法案の成立・政令公布後)(要確認)

こんな勘違いに注意:「在留資格の更新も7月から手数料が上がる」と社内に案内してしまうケースが考えられるが、これは誤りになる可能性が高い。2026年7月1日から確実に変わるのは査証申請料(海外での手続き)であり、在留資格関連手数料(国内での手続き)の実際の金額・施行日は本記事執筆時点(2026年6月)でまだ確定していない。社内説明資料を作る際は、この2つを分けて記載することを強くおすすめする。

─── 第5章:採用予算への影響をどう見積もるか ───

コスト構造の整理

外国人採用にかかる行政手数料は、大きく分けて以下のように整理できる。

手続き管轄現行の目安2026年以降の見込み
在留資格認定証明書交付申請法務省・出入国在留管理庁無料(交付申請自体に手数料はかからない)変更なし(要確認:今後の制度変更次第で変わる可能性あり)
査証(ビザ)申請(一次)外務省3,000円15,000円(2026年7月1日以降)
査証(ビザ)申請(数次)外務省6,000円30,000円(2026年7月1日以降)
在留資格変更・更新許可申請法務省・出入国在留管理庁数千円程度(オンラインは500円減)法定上限は100,000円に引き上げ。実際の額は要確認
永住許可申請法務省・出入国在留管理庁数千円程度法定上限は300,000円に引き上げ。実際の額は要確認

シミュレーション例

仮に、海外から技人国人材を1名受け入れるケースで、査証料の変更のみを反映すると次のようになる(※これは概算表示例です。実際は申請内容・為替・代行費用等により変動します)。

項目2026年6月までの目安2026年7月以降の目安
査証申請料(一次)3,000円15,000円
差額+12,000円

1名あたりの増加額は1万円台だが、複数名を継続的に受け入れる企業では、年間の採用人数分だけ積み上がる。年間20名規模で海外からの一次査証取得が必要なケースでは、単純計算で24万円程度の追加負担になる(※これは概算表示例です)。

実務でこう使える:来期の外国人採用予算を組む際は、「査証申請料」を従来の数千円ベースではなく、新料金(15,000円・30,000円)で計算し直しておくこと。海外拠点の人事担当者や、現地の代理店・行政書士に依頼している場合は、見積金額の更新を依頼しておくのが確実だ。

─── 第6章:地味だけど見落としやすい確認ポイント ───

  • 代理申請の取扱手数料は別:査証申請を行政書士や代理店に依頼している場合、行政書士への依頼料・代理店の取扱手数料は、今回の査証料改定とは別に発生するコストだ。請求書の内訳を確認し、「査証料」と「代行手数料」を分けて把握しておきたい。
  • 複数回有効(マルチビザ)の使い分けを再検討する余地:マルチビザは一次査証より高いが、出張や一時帰国が多い人材には複数回分の入国コストを1回の申請でまとめられるメリットがある。料金が5倍になったことで、「一次査証を都度取得する」か「数次査証でまとめる」かのコスト比較を一度見直す価値が出てきている。
  • 在留資格側の手数料発表は継続的にウォッチする:第3章で触れた在留資格関連手数料の実際の金額は、今後、政令や出入国在留管理庁の告知で確定する見込みだ。出入国在留管理庁の公式サイト(在留資格関連の手続きページ)を定期的に確認しておくと、社内への影響を早めに把握できる。
  • 査証免除国・地域の扱い:観光等での短期滞在に関する査証免除の枠組みとは別の話だが、混同されやすいポイントなので、社内資料には「就労目的の査証申請料の話である」ことを明記しておくと誤解を防げる。

─── 第7章:採用担当者が今日からできること ───

やること内容
1. 既存の採用予算表を確認する査証申請料を3,000円・6,000円ベースで計算している箇所がないか確認する
2. 海外拠点・代理店に連絡する2026年7月1日以降の申請分から新料金が適用される旨を共有し、見積もりの更新を依頼する
3. 社内説明資料を更新する「査証料」と「在留資格関連手数料」を分けて説明し、後者は金額未確定であることを明記する
4. 出入国在留管理庁・外務省の公式情報を定期確認する在留資格関連手数料の実際の金額・施行日が発表されたら速やかに反映する

─── まとめ ───

2026年は、外国人採用にかかる行政手数料が大きく動く年になる。確定している事実は、2026年6月19日の閣議決定により、海外の大使館・領事館で申請する査証(ビザ)の申請料が2026年7月1日から5倍に引き上げられること(一次査証3,000円→15,000円、数次査証6,000円→30,000円)。これは1978年以来48年ぶりの改定だ。

一方で、在留資格の変更・更新や永住許可にかかる国内手数料については、2026年3月10日に法定上限を引き上げる法案が閣議決定された段階であり、実際の手数料額や施行日は本記事執筆時点(2026年6月26日)でまだ確定していない。この2つの制度を混同せず、「査証料は確定して7月から上がる」「在留資格関連手数料は上限が決まったが実額は未確定」と正確に区別して社内に共有することが、採用担当者として最も大切なポイントになる。

今後、在留資格関連手数料の実額が政令等で確定した段階で、改めて続報をお届けする予定だ。継続的に外国人採用を行っている企業は、出入国在留管理庁・外務省の公式発表を定期的にチェックしておきたい。


参考情報源

  • 外務省:査証申請料の改定に関する報道(2026年6月19日閣議決定)
  • 法務省:出入国管理及び難民認定法改正案の閣議決定(2026年3月10日)
  • 出入国在留管理庁公式サイト:在留資格関連の手続き・手数料案内(https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-1.html)
  • 各種報道(日本経済新聞、時事通信、共同通信ほか)

※本記事の内容は2026年6月24日時点で確認できた情報に基づいています。在留資格関連手数料の実額・施行日など一部未確定の項目については、最新の政府発表を必ずご確認ください。

お問い合わせはこちら