外国人採用を始める前に【2026年最新版】在留資格・手続き・採用方法まとめ 前編

 ─── はじめに ───

去年、知り合いの中小企業の社長から「うちも外国人を雇いたいんだけど、何から始めればいいのかさっぱりわからない」と相談を受けました。求人を出しても日本人が集まらない、でも外国人を雇う手続きは難しそう、何かルール違反をしてしまったらどうしよう——そういう不安が積み重なって、なかなか一歩を踏み出せずにいるという話でした。

そのような相談は多く受けます。外国人採用には「在留資格(ビザ)」「ハローワーク届出」「就労制限の確認」など、聞き慣れない言葉が並びます。さらに制度は毎年のように改正されます。調べれば調べるほど「これは専門家に任せないと無理だ」と感じて、諦めてしまう人も多いのです。

しかし実際に一つひとつ整理してみると、そこまで複雑ではないのです。この記事では、外国人を初めて採用しようとしている日本の中小企業の担当者や経営者に向けて、2026年時点の最新情報を踏まえながら、手続き全体をわかりやすく解説します。

「外国人を雇ったら違法になるケースって何?」
「ビザの手続きは企業がやるの?」
「採用後にハローワークへの届出が必要って本当?」
——そういった疑問にも全部答えていきます。

 

─── 第1章:そもそも「在留資格」って何?(完全初心者向け) ───

外国人が日本で働くには「許可証」が必要

日本に住む外国人は全員、「在留資格(ざいりゅうしかく)」という許可を持っています。これは出入国在留管理庁(入管庁)が発行する「この人は日本に〇〇の目的でいてもよい」という証明書です。

在留資格は2026年4月現在で**29種類**あり、それぞれの資格によって「できること・できないこと」が決まっています。「就労(仕事)」に関していえば、日本で働くことが許可された在留資格を持っている人しか、原則として雇うことができません。

「在留カード」を見れば確認できる

外国人が必ず携帯しているのが「在留カード」という身分証明書です。このカードには名前・在留資格・期限が書かれている。採用する際には必ずこのカードを確認します。

在留カードで確認すべき3点:
確認項目確認内容なぜ大事か
在留資格の種類どんな仕事ができるか資格外の仕事をさせると違法
在留期限いつまで日本にいられるか期限切れのまま雇用は不可
就労制限の有無「就労不可」と書いていないか一部の資格は就労禁止

就労できる在留資格とできない在留資格

全29種類のうち、就労できるものは26種類。ただし「在留期間内なら何でも働ける」資格と「決まった仕事しかできない」資格があります。

分類代表的な資格特徴
就労制限なし永住者・定住者・日本人の配偶者等どんな仕事でもOK
職種限定型技術・人文知識・国際業務、特定技能、高度専門職など許可された仕事のみ
原則就労不可短期滞在、観光ビザなど働かせてはいけない
週28時間以内留学・家族滞在(資格外活動許可あり)許可の範囲内でアルバイト可

─── 第2章:2026年の主要な在留資格10選 ───

外国人採用でよく使われる在留資格を一覧で整理します。

在留資格主な対象職種向いている企業規模採用難易度
技術・人文知識・国際業務IT・エンジニア・翻訳・通訳・営業全規模★★☆(中程度)
特定技能1号介護・建設・外食・製造・農業など19分野中小〜大★☆☆(低め)
特定技能2号特定技能1号の上位資格・熟練者中〜大★★★(高め)
高度専門職高スキルな研究者・技術者・経営者大企業中心★★★(高め)
経営・管理会社の経営者・管理職全規模★★★(高め)
技能外国料理の調理師・建設職人など飲食・建設業★★☆(中程度)
永住者・定住者・配偶者等制限なし全規模★☆☆(低め:制限ほぼなし)
留学(資格外活動許可あり)アルバイト(週28時間以内)全規模★☆☆(低め)
特定活動(46号)ホワイトカラー全般・日本語堪能者全規模★★☆(中程度)
育成就労製造・農業・建設など(2027年〜本格化)中小向け★☆☆(低め)

中小企業が最初に狙うべき在留資格

初めての外国人採用で一番とっつきやすいのは以下の2パターン。

① 永住者・定住者・日本人の配偶者等(身分系)

就労制限がほぼなく、日本人と同じ感覚で雇える。手続きも簡単。ただし、この在留資格を持つ外国人は競争率が高く、優秀な人材は引く手あまたになっている。

② 技術・人文知識・国際業務(通称「技人国」)

IT企業、貿易商社、製造業など多くの業種で使える最もポピュラーな就労系在留資格。エンジニア・通訳・翻訳・営業職など幅広い職種に対応している。

─── 第3章:2026年に変わった!最新の制度改正ポイント ───

外国人採用の制度は2026年に大きく変わった部分がある。ここを把握せずに採用を進めると、書類不備や違法状態になりかねない。

変更① 「技人国」ビザに日本語要件が追加(2026年4月15日〜)

2026年4月15日以降の申請から、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に日本語能力要件が追加された。

どういうことかというと、「対人業務(顧客対応や窓口業務など、日本語でコミュニケーションをとる仕事)」をメインにする場合、その仕事で使う言語についてCEFR(セファール)B2相当の能力証明が必要になった。

CEFR B2とは日本語ならJLPT N2(日本語能力試験2級)以上、またはBJT(ビジネス日本語能力テスト)400点以上に相当する。

ただし、全員に求められるわけではない。

対象になるケース対象にならないケース
対人業務がメイン・Category 3または4の会社IT・研究開発など対人業務がメインでない職種
新規申請や在留資格変更更新申請(同じ業務を継続していた場合は不要)
言語能力が主な業務遂行要件となる場合日本の大学・高校・専修学校卒業者(卒業証明で代替可)

Category(カテゴリー)とは?
入管庁が会社の規模や上場状況で区分した分類で、Category 1が大企業・上場企業、Category 4が新設会社・実績のない小規模企業。Category 3・4の会社が最も審査が厳しい。

変更② 特定技能の定期届出が「年4回→年1回」に変更

特定技能の在留資格を持つ外国人を雇っている企業は、毎年定期的に入管庁へ報告書を提出する義務がある。それがこれまで年4回(四半期ごと)だったのが、2026年4月〜年1回に変わった。

提出期間は毎年4月1日〜5月31日。書類様式も統合されて1種類に整理された。

手続きの手間が大幅に減ったのは企業側にとって朗報だ。ただし、定期面談(3ヶ月に1回以上)は引き続き必要で、これは変わっていない。

変更③ 特定技能の対象分野が16→19分野に拡大(2026年1月閣議決定)

2026年1月23日の閣議決定で、特定技能制度の対象分野が16から19分野に拡大された。新たに追加されたのは以下の3分野。

新分野どんな仕事か採用開始見込み
物流倉庫倉庫内作業・搬入出・仕分け・在庫管理2027年頃〜
リネンサプライホテル・病院向けシーツ・タオルの洗濯・納品2027年頃〜
資源循環廃棄物処理施設での中間処理作業2027年頃〜

現時点ではまだ技能評価試験の整備中のため、実際の採用は2027年頃からの見込みだ。物流・リネン・廃棄物処理業の会社は今から準備を始めておくといい。

─── 第4章:採用の3つのパターンと流れ ───

外国人を採用するには大きく3つのルートがある。それぞれで手続きの流れが変わってくる。

パターン①:海外にいる外国人を採用して日本に呼ぶ

海外在住の外国人を採用する場合、**企業側が先に入管庁へ申請する**必要がある。流れはこうだ。

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内定を出す

企業が「在留資格認定証明書(COE)」を入管庁に申請

入管庁の審査(1〜3ヶ月)

証明書が発行されたら、本人の国の日本大使館にビザ申請

ビザ取得・来日

入社
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合計で3〜6ヶ月かかることが多い。4月入社を目指すなら前年の秋には動き始める必要がある。

注意点:COEは企業の代わりに行政書士(ぎょうせいしょし)に申請を依頼することもできる。初めての場合は専門家に頼むのが安全だ。

パターン②:日本にいる外国人を採用する(在留資格変更)

すでに日本に住んでいる外国人(例:留学生や別の会社で働いていた人)を採用する場合は、在留資格変更許可申請という手続きが必要だ。

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採用決定

企業が必要書類を準備

外国人本人が入管庁に「在留資格変更許可申請」を提出

審査(1〜3ヶ月)

許可が下りたら入社
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留学生を4月に新卒入社させる場合、入管庁は前年12月1日〜1月末の申請を推奨している。この時期を逃すと審査が間に合わない可能性がある。

パターン③:すでに就労できる在留資格を持つ外国人を採用する(転職・在留資格更新)

永住者・定住者・日本人の配偶者等は、就労制限がないため、日本人の転職と同じ感覚で採用できる。

技人国など就労系在留資格を持つ転職者の場合は、就労資格証明書(任意) を取得するか、次回の在留期間更新時に新しい会社の情報で申請することになる。

就労資格証明書の取得は義務ではないが、「この仕事をしていいか」の確認になるので、採用後のトラブル防止に役立つ。

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