外国人採用を始める前に【2026年最新版】在留資格・手続き・採用方法まとめ 後編

─── 第5章:採用後にやるべき手続き ───

無事に採用が決まったら、入社前後に企業側がやるべき手続きがある。見落とすと罰則があるものもあるので注意が必要だ。

手続き① ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」(義務)

全ての事業主に義務付けられている届出で、外国人を雇い入れたとき・離職させたときに毎回ハローワークへ報告しなければならない。

項目内容
届出タイミング雇い入れ・離職のたびに
届出方法ハローワーク窓口・インターネット(外国人雇用状況届出システム)・雇用保険手続きと同時に行うことも可
罰則届出を怠った場合、30万円以下の罰金

手続き方法は厚生労働省の「外国人雇用状況届出システム」(hellowork.mhlw.go.jp)からオンラインで行える。

手続き② 雇用保険・社会保険への加入

外国人も日本人と同じく、雇用保険・社会保険・労災保険の加入対象となる(一部の在留資格や雇用形態を除く)。

「外国人だから加入しなくていい」は誤りだ。会社が義務を怠ると是正指導を受ける。

保険の種類加入条件手続き先
雇用保険週20時間以上・31日以上雇用ハローワーク
健康保険・厚生年金週30時間以上・2ヶ月超えて雇用年金事務所
労災保険全員対象(パート・アルバイト含む)労働基準監督署

手続き③ 在留カードのコピーと保管

採用時に在留カードを確認してコピーを保管しておく。これは義務ではないが、後から「在留資格を確認していたか」と問われたときに証拠になる。

在留期限のリマインダーも設定しておこう。期限が近づいたら本人に更新手続きの案内をする。在留期限切れのまま働かせると、会社側も法的リスクを負う。

手続き④ 就業規則・契約書の整備

外国人だからといって待遇を下げることは違法だ。日本の労働基準法(ろうどうきじゅんほう)は国籍を問わず全員に適用される。

確認項目内容
賃金日本人と同等の賃金・最低賃金以上
労働時間1日8時間・週40時間以内が原則
雇用契約書日本語と本人の母国語の両方で作成するのが望ましい
就業規則外国語翻訳版を用意すると定着率が上がる

─── 第6章:「技人国」ビザで採用する手順(最もよく使われるルート) ───

「技術・人文知識・国際業務」は外国人採用で一番使われる在留資格だ。具体的にどう手続きするかを、国内在住の外国人を採用するケースで説明する。

ステップ1:採用したい外国人の在留資格・状況を確認する

  • 現在の在留資格は何か
  • 在留期限はいつか
  • 採用予定の職種は技人国の範囲に入るか

技人国の「技術」分野はITエンジニア・機械設計など、「人文知識」は会計・法務・マーケティングなど、「国際業務」は通訳・翻訳・語学講師など。現場仕事(工場の製造ライン・飲食店のホールなど)はこの在留資格の対象外なので注意。

ステップ2:必要書類を揃える

企業側が用意するのは主に以下の書類だ。

企業が準備する書類(例):

書類名説明
雇用契約書(または内定通知書)採用条件・業務内容を明記
会社の登記事項証明書法務局で取得
会社の決算書(直近1〜3期分)財務状況の確認
採用理由書業務内容・外国人を採用する理由
会社案内・組織図規模・業種の説明
申請書(入管庁の書式)入管庁ウェブサイトからダウンロード

本人が準備する書類(例):

  • パスポート・在留カード
  • 卒業証明書・成績証明書(学歴が要件に関わるため)
  • 職歴証明書(経歴が要件に関わる場合)
  • 2026年4月以降の対象ケースでは日本語能力の証明書(JLPT N2等)

ステップ3:入管庁へ申請(本人が窓口または代理人が申請)

在留資格変更許可申請は、原則として本人が入管庁の窓口に行くか、申請取次資格を持つ行政書士に代理申請を依頼する。

申請書は入管庁のウェブサイト(www.moj.go.jp)からダウンロードできる。

ステップ4:審査を待つ

審査期間は通常1〜3ヶ月。在留期限が迫っている場合は「在留期間更新」と同時に申請する必要がある。

ステップ5:許可が下りたら入社

在留カードが新しいものに更新されて「技術・人文知識・国際業務」の記載があれば採用完了。入社後はハローワーク届出を忘れずに。


─── 第7章:外国人採用に使える主な求人媒体 ───

「どこに求人を出せばいいの?」という疑問もよく聞く。外国人向けの媒体を中心に、使い分けを整理した。

国内の外国人向け求人サイト

媒体名特徴向いているケース
Guidable Jobs身分系在留資格(永住・定住・配偶者)の外国人が多い就労制限なしの外国人を採用したい
WORK JAPAN30万人以上登録・8言語対応アルバイト〜正社員まで幅広く採用したい
外国人求人ネットACE世界137ヵ国の登録者・17年以上の実績グローバル人材・専門職の採用
マイナビグローバル大手就活サイト系・外国人留学生も多い新卒の外国人留学生を採用したい
Indeed(英語・多言語)世界最大規模・多言語求人可能コストを抑えて幅広くリーチしたい

LinkedIn(リンクトイン)でのダイレクトリクルーティング

エンジニアや専門職の外国人を探す場合は、LinkedIn(ビジネス特化のSNS) を活用するのも有効だ。日本語・英語でスカウトメッセージを送ることができ、プロフィールで職歴・スキルを確認してからアプローチできる。

無料アカウントでも求人の掲示や候補者へのメッセージは可能だ。

ハローワークの外国人雇用サービスセンター(無料)

費用をかけたくない場合は、ハローワークの外国人雇用サービスセンターが活用できる。全国主要都市に設置されており、外国人求職者向けの紹介を行っている。求人票を日本語で出すだけで手続きは簡単だ。

大学・日本語学校との連携

新卒採用であれば、日本の大学や日本語学校のキャリアセンターに直接連絡して求人を出す方法もある。特に地方の中小企業では、地元の大学に通う外国人留学生が採用候補になりやすい。


─── 第8章:採用後の定着を高めるために ───

外国人を採用しても、すぐに辞めてしまっては採用コストが無駄になる。定着率を高めるために企業側ができることを整理する。

入社後3ヶ月が最も重要

外国人社員が離職を考えるのは入社後3ヶ月以内が最も多い。この時期に孤立感や不安を感じさせないことが大切だ。

定着率を上げる5つの施策

施策具体的な方法
メンター制度先輩社員を1人担当者にして相談窓口にする
多言語サポート就業規則・社内マニュアルを母国語で提供
在留手続きサポート在留期限更新の費用・時間を会社が支援
文化理解の場宗教的な配慮(礼拝時間・食事制限)を尊重する
日本語学習支援会社費用負担で日本語学校に通わせる

在留期限の管理は会社の責任

在留期限が切れたまま働かせていると、企業側も不法就労助長罪に問われるリスクがある。社員の在留期限をエクセルなどで一覧管理して、期限3ヶ月前には必ず本人に連絡する仕組みを作っておこう。


─── 第9章:よくある失敗と対策 ───

初めての外国人採用でよく起こるミスを事前に把握しておこう。

失敗① 在留資格と業務内容が一致していなかった

「この人は在留カードを持っているから大丈夫」と思ったら、許可されていない職種に就かせていた——というケースが多い。

対策: 在留資格の種類と採用予定の業務内容を照合し、不明な場合は入管庁または行政書士に事前確認する。

失敗② 在留期限が切れているのに気づかなかった

採用時は有効だった在留カードが、勤務中に期限切れになっていた。

対策: 在留期限をシステムや台帳で管理し、期限前に更新を促す。

失敗③ ハローワーク届出を忘れていた

「採用後の手続きは労務担当がやる」と思ったら、誰も届出をしていなかった。

対策: 採用フローに「ハローワーク届出」を入れて、チェックリスト化する。

失敗④ 日本語がほぼ話せない人を採用してコミュニケーション不全に

「英語ができる外国人なら大丈夫」と採用したが、社内は日本語しか使えなかった。

対策: 採用前に職場環境と必要な日本語レベルを明確にして、面接で実際の日本語コミュニケーション能力を確認する。

失敗⑤ 行政書士に依頼せず自社で申請して不備が続いた

書類不備で申請が却下され、入社時期が大幅に遅れた。

対策: 初回の申請は行政書士(費用目安:技人国変更申請で5〜15万円程度)に依頼する。2回目以降は社内でできるようになることが多い(※費用は事務所によって異なります。実際の費用は行政書士事務所にお問い合わせください)。


─── 第10章:今日から始める外国人採用の実践ガイド ───

初めての外国人採用「最初の7ステップ」

ステップやること目安時間
①情報整理「どんな職種で・どんな在留資格の人を採用したいか」を決める1〜2時間
②相談行政書士や採用支援会社に相談してコストと流れを把握1〜2時間
③求人作成職種・業務内容・在留資格の要件を明記した求人票を作成半日
④媒体選定Guidable・WORK JAPAN・ハローワークのどれかに掲載1〜2時間
⑤面接実施在留資格・在留期限・業務適合性を確認しながら面接随時
⑥書類準備採用後、必要書類を揃えて在留資格変更申請または届出1〜2週間
⑦入社後フォローハローワーク届出・雇用保険加入・メンター配置入社当日〜1週間

よくある不安への回答

「小さな会社でも外国人を雇えますか?」

雇える。むしろ、身分系(永住者・定住者)の外国人なら日本人採用と変わらない手続きで採用できる。

「日本語が話せない外国人でも雇えますか?」

在留資格の要件的にはNGではないが、職場環境次第で定着率が下がる。採用前に必要な日本語レベルを決めて、そのレベルで評価することが大事。

「技人国の申請は自社でできますか?」

できるが、初回は行政書士への依頼を推奨する。申請書類の書き方ひとつで審査結果が変わることもある。

「違法になる可能性はありますか?」

在留資格の範囲外の仕事をさせた場合は違法(不法就労助長罪)になり、企業も罰せられる。しかし正しい確認と手続きをすれば、複雑に見えても合法的に採用できる。


─── まとめ ───

2026年時点での外国人採用は、制度の整備が進んで以前よりかなりやりやすくなっている。一方で、「技人国への日本語要件追加」「特定技能の定期届出変更」など、押さえておくべき新しいルールも増えた。

外国人採用は「難しい・複雑・怖い」というイメージが先行しがちだが、正しい知識を持って一歩ずつ進めれば、必ずできる。まずは小さく始めてみよう。


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