外国人採用コスト完全比較:特定技能 vs 技人国 vs インターンシップ【2026年最新版】


─── はじめに ───

「結局、外国人を1人採用するのにいくらかかるんですか?」

これは外国人採用の相談を受けるとき、ほぼ毎回最初に聞かれる質問だ。だが実はこの質問に一言で答えることはできない。なぜなら「外国人採用」と一口に言っても、特定技能、技術・人文知識・国際業務(技人国)、インターンシップでは、コストの内訳も総額も大きく異なるからだ。

特定技能では人材紹介料に加えて登録支援機関への委託費が毎月発生し、技人国では紹介料が想定年収の30〜35%という%ベースで決まる。インターンシップは制度上の負担が軽いとされるものの、相場情報自体が少なく見積もりが取りにくい。このように、同じ「外国人採用」という言葉でも制度ごとにコストの発生パターンがまったく異なる。

この記事では、特定技能・技人国・インターンシップという3つの代表的な制度について、申請手数料から紹介料、登録支援機関費用、研修費、住居支援まで、初年度にかかる費用を項目別に整理し、最終的に「1人採用するといくらかかるのか」を比較表でまとめる。これから外国人採用を検討している企業の予算策定の材料にしてほしい。


─── 第1章:そもそも3つの制度は何が違うのか(完全初心者向け) ───

一言で言うと

制度一言で言うと対象人材
特定技能1号人手不足分野で即戦力として働く在留資格特定産業分野の技能試験合格者・技能実習2号修了者等
技人国ビザ大学等で学んだ専門知識を活かして働く在留資格大卒・専門学校卒等で専門的職務に従事する人材
インターンシップ海外大学生が一定期間、教育の一環として実習を行う制度海外大学に在籍する外国人学生

特定技能と技人国は「正社員として継続的に雇用する」ことを前提とした在留資格であり、インターンシップは「教育目的の短期的な実習」が前提という根本的な違いがある。コストの構造もこの違いを反映している。

コストの全体像(before/after)

視点コストが見えていない場合コストを正確に把握している場合
予算策定紹介料だけを見て後から追加費用に驚く行政手数料・継続費用まで含めて予算を組める
制度選択「とりあえず特定技能」で進めてしまう採用目的に応じて最適な制度を比較検討できる
継続コスト登録支援機関費用等の月額費用を見落とす初年度だけでなく2年目以降のコストも見据えられる

─── 第2章:特定技能1号のコスト内訳 ───

行政手数料

在留資格認定証明書(COE。海外から呼び寄せる場合に必要な証明書)の交付申請自体は無料だ。一方、すでに日本国内にいる人材を別の在留資格から特定技能に変更する場合の在留資格変更許可申請は、2025年4月の手数料改定により窓口申請で6,000円、オンライン申請で5,500円となっている(改定前は4,000円)。

登録支援機関への委託費用(特定技能特有のコスト)

特定技能制度に特有のコストが、登録支援機関(特定技能外国人の生活支援・相談対応等を行う、出入国在留管理庁の登録を受けた機関)への委託費用だ。自社で支援体制を整えられない企業の多くは、この登録支援機関に支援業務を委託する。

登録支援機関を対象とした調査を行っているONODERA USER RUN(特定技能外国人の支援サービスを提供する事業者)の調査によれば、委託費用の相場は月額平均28,386円となっている(調査対象企業数・実施年等の詳細な調査概要は同社サイト上で個別に確認する必要があるため、利用予定の際は最新の調査データを直接確認してほしい)。これを年額にすると約34万円であり、1年だけでなく雇用している間ずっと発生する点が、技人国やインターンシップにはない特定技能特有の特徴だ。なお、委託費用の月額分布の詳細(価格帯ごとの企業割合等)については、この記事では裏付けとなる統計データを確認できなかったため「要確認」としておく。本記事の比較表(第5章)では、この月額平均28,386円(年額換算約34万円)を基準値として採用している。

人材紹介料

人材紹介会社を通じて特定技能外国人を採用する場合の紹介料は、年収の%ベースではなく定額制が主流で、相場は20万~80万円程度だ。技能実習からの移行で同一の紹介会社が引き続き支援するケースでは、紹介料が0円になることもある。

日本語教育・研修費用

採用ルートによって大きく変動する点に注意が必要だ。海外から直接採用する場合は渡航費等も含め70万~180万円、すでに日本国内にいる人材を採用する場合(国内転籍)は30万~65万円、技能実習からの移行であれば1万~40万円程度になる。

住居支援コスト

特定技能外国人に対する住居確保支援は登録支援機関の義務的支援業務の1つであり、敷金・礼金等の初期費用として10万~50万円程度が発生することが多い。

行政書士・申請代行費用

在留資格認定・変更申請の代行を行政書士に依頼する場合の相場は12万~20万円程度、その後の更新申請であれば6万~10万円程度になる。

特定技能のコスト一覧表

項目金額目安
在留資格変更許可申請(手数料改定後)6,000円(窓口)/5,500円(オンライン)
COE交付申請(海外から)無料
登録支援機関委託費月額平均28,386円(年額換算約34万円)
人材紹介料20万~80万円
日本語教育・研修費1万~180万円(採用ルートにより変動)
住居支援初期費用10万~50万円
行政書士代行費用(認定・変更)12万~20万円

特定技能で見積もりを取る際は、初年度の紹介料・研修費・住居支援費だけでなく、登録支援機関への委託費を「月額×12か月」で必ず計算に入れる。これを忘れると、2年目以降の継続コストの見込みが甘くなる。


─── 第3章:技術・人文知識・国際業務(技人国)のコスト内訳 ───

行政手数料

技人国も特定技能と同様、海外からのCOE交付申請は無料、在留資格の変更・更新許可申請は2025年4月の改定後で窓口6,000円・オンライン5,500円となっている(許可後の証明書受領時等に別途、収入印紙による費用が発生する場合がある)。なお、これとは別に2026年度中にさらなる手数料引き上げを検討しているとの見方を示す業界メディアの記事も確認できたが、出入国在留管理庁から具体的な施行時期・金額が公表された事実は本記事執筆時点(2026年6月)では確認できていない。申請予定がある場合は、申請直前に出入国在留管理庁の最新情報を必ず確認しておきたい。

人材紹介料(技人国の最大コスト要因)

技人国の人材紹介料は、特定技能やインターンシップと大きく異なり、想定年収の30~35%という%ベースの料金体系が主流だ(人材紹介業界の一般的な紹介料相場として、複数の人材紹介関連メディアで紹介されている水準)。たとえば想定年収500万円のエンジニアを採用する場合、紹介料だけで150万~175万円に達する。これが技人国の総コストを他の制度より高くする最大の要因になっている。

日本語教育・研修費用

入社後に企業内で集中的な日本語研修を行う場合、3か月程度のプログラムで15万~30万円程度が目安になる(外国人採用支援サービスの解説記事に基づく金額)。

住居支援コスト

特定技能のような義務的な住居確保支援の規定はなく、企業の判断による任意の支援となる。実施する場合は敷金・礼金等で10万~50万円程度が想定されるが、これは特定技能の住居支援費と同水準を想定した参考値であり、技人国に特化した統計データではないため要確認としたい。

行政書士代行費用・学歴・経験証明の収集コスト

COE申請の代行を行政書士に依頼する場合は10万~12万円程度が相場になる。加えて技人国特有のコストとして、海外の大学の卒業証明書等にアポスティーユ(外国公文書の認証手続き)を取得する代行費用が1万~3万円程度、公証人手数料が1万2,500円程度発生する。これらは認証関連サービスの料金表に基づく金額だ。職務経験証明書の収集にかかるコストは案件ごとに変動するため要確認としたい。

技人国のコスト一覧表

項目金額目安
在留資格変更・更新許可申請6,000円(窓口)/5,500円(オンライン)
COE交付申請(海外から)無料
人材紹介料想定年収の30~35%(年収500万円なら150万~175万円)
日本語教育・研修費15万~30万円
住居支援初期費用(任意)10万~50万円
行政書士代行費用(COE申請)10万~12万円
学歴証明書アポスティーユ等1万~3万円+公証人手数料約1万2,500円

技人国の採用予算を組むときは「紹介料=想定年収×30~35%」という前提でまず大枠を計算し、そこに研修費・行政書士費用を加える形で見積もると、実際の総額に近い数字が出しやすい。自社で直接採用(リファラルや自社サイト経由)できれば、紹介料部分の60万~80万円程度まで圧縮できる可能性がある。


─── 第4章:インターンシップのコスト内訳 ───

行政手数料

特定活動(告示9号)インターンシップのCOE交付申請は無料、国内での在留資格変更許可申請は窓口6,000円・オンライン5,500円となっている。短期滞在インターンシップの場合は査証(ビザ)申請料が別途発生する可能性があるが、対象国や個別事情により異なるため要確認としたい。

仲介・コーディネート費用

インターンシップ専用の仲介費用について、相場として確立されたデータはない。詳しい情報は、弊社までお問い合わせください。

日本語教育・研修費用

インターンシップに特化した費用データは確認できなかったため、この項目は要確認としたい。実習計画書の内容次第で必要な研修内容も変わるため、個別に見積もる必要がある。

住居支援コスト

住居支援は企業の任意負担となるケースが多く、具体的な相場データは要確認だが、交通費・昼食代などの日常的な費用は学生本人の負担とされる例も見られる。

行政書士代行費用

1名分のインターン申請を行う際に3万円程度が加算される例が見られる。

保険

短期滞在インターンの場合、大学の学生保険の対象外となるケースがあるため、海外旅行保険等への加入が推奨されている。

インターンシップのコスト一覧表

項目金額目安
在留資格変更許可申請(国内)6,000円(窓口)/5,500円(オンライン)
COE交付申請(海外から)無料
短期滞在ビザ査証申請料要確認(対象国により異なる)
仲介・コーディネート費用(利用時)要確認(利用しない場合は0円)
日本語教育・研修費要確認
住居支援コスト(任意)要確認
行政書士代行費用3万~15万円程度(事例ベース)
保険(推奨)要確認

─── 第5章:3制度の初年度総コスト比較 ───

比較表(1人採用時の初年度総コスト概算)

制度行政手数料紹介料教育・研修費住居支援行政書士費初年度総コスト目安(レンジ)モデルケース(中間的な想定)
特定技能1号0~6,000円20万~80万円1万~180万円10万~50万円12万~20万円約67万~736万円約100万~150万円程度(国内転籍・研修費中程度を想定)
技人国ビザ0~6,000円約150万~175万円(年収500万円想定)15万~30万円10万~50万円10万~12万円約190万~250万円約220万円程度(紹介会社利用・住居支援なしを想定)
インターンシップ0~6,000円0~80万円(利用時)要確認要確認3万~15万円約15万~50万円約20万円程度(大学経由で仲介費用なしを想定)

上記の比較表を読む際は、以下の3点に注意してほしい。

  • 上記は調査時点での情報に基づく概算であり、採用ルート・国籍・企業の支援体制により実際の金額は変動する。「要確認」項目は加算していないため、実際の総額はこれより上振れする可能性がある。
  • 「初年度総コスト目安」のレンジは各項目の最小値・最大値を機械的に組み合わせたものであり、上限は採用ルート・研修内容が重なって変動する極端なケースを含む。
  • 実務上は幅の広いレンジそのものより、右列の「モデルケース」を起点に、自社の採用条件に近い項目を個別に積み上げて見積もることを推奨する。

この比較表から見えること

特定技能は登録支援機関への継続費用(年額換算約34万円)が他制度にない特有のコストとして発生し、これは1年限りではなく雇用している間継続する点が見落とされやすい。

技人国は紹介料が想定年収の30~35%という%ベースであるため、採用するポジションの年収が高ければ高いほど、紹介料も比例して跳ね上がる構造になっている。3制度の中で最もコストが高くなりやすいのはこのためだ。

インターンシップは行政手数料・仲介費用ともに最も軽く、大学経由で進めれば紹介料自体が発生しないケースもある。一方で教育的な実習であるため継続雇用を前提とした制度ではなく、「コストが低い=目的に合う」とは限らない点には注意したい。


─── 第6章:コスト比較で陥りやすい落とし穴 ───

落とし穴1:紹介料だけを見て総額を見誤る

状況: 「紹介料20万円」という見積もりだけを見て予算を確保したが、実際には登録支援機関への委託費や住居支援費が別途必要だと後から判明し、予算が不足してしまった。

対処法: 見積もりを取る際は、紹介料・行政手数料・継続費用(特定技能なら登録支援機関費)・住居支援費・行政書士費用を分けて項目ごとに確認する。

落とし穴2:特定技能の継続費用を1年分しか計算しない

状況: 登録支援機関への委託費を初年度のみの費用として計算してしまい、2年目以降の予算策定で想定外の費用が発生した。

対処法: 登録支援機関への委託費は雇用契約が続く限り発生する月額費用であることを前提に、複数年の予算計画に組み込む。

落とし穴3:技人国の紹介料を固定額だと思い込む

状況: 過去の採用実績から「紹介料は大体50万円くらい」と思い込み、年収の高いポジションの採用時にも同じ感覚で予算を組んでしまい、実際の紹介料との差額に驚いた。

対処法: 技人国の紹介料は年収の%ベースであることを前提に、ポジションごとの想定年収から紹介料を逆算して見積もる。


─── 第7章:今日から始める予算策定チェックリスト ───

確認項目特定技能技人国インターンシップ
[ ] 行政手数料を確認したか
[ ] 紹介料の算定方式(定額/%)を確認したか定額制中心%ベース中心利用有無を確認
[ ] 継続的な月額費用の有無を確認したか登録支援機関費ありなしなし
[ ] 住居支援費用の負担範囲を確認したか義務的支援任意任意(要確認)
[ ] 行政書士代行費用を見積もりに含めたか
[ ] 複数年の継続コストまで予算化したか必須不要(継続費用なし)不要(短期のため)

─── まとめ ───

特定技能・技人国・インターンシップは、いずれも「外国人採用」という言葉でまとめて語られがちだが、コスト構造はそれぞれ大きく異なる。特定技能は登録支援機関への継続的な委託費用、技人国は年収に比例する紹介料、インターンシップは教育目的のため全体的に費用が軽いものの相場情報自体が少ない、という特徴がある。

今日から始められること:

  • 現在検討中の採用について、行政手数料・紹介料・継続費用・住居支援費を項目別に分けて見積もりを取り直してみる
  • 特定技能で採用予定の場合、登録支援機関への委託費を月額×想定雇用年数で計算してみる
  • 技人国で採用予定の場合、想定年収×30~35%で紹介料の目安を逆算してみる

「いくらかかるか」を制度ごとに正確に把握しておくことが、外国人採用を継続的かつ計画的に進めるための第一歩になる。


参考情報源:

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